今月の絵献立

「仲秋の御献立」技術理事 山田 剛(横浜ロイヤルパークホテル)

先附
  • 長茄子はへたの部分を切り落とし、天地が貫通するように金串を打ち、油で揚げて氷水に落として皮を剥き、水分をよく取り、濃い目に味を付けた吸地に漬けます。味がなじんだら切り出して器に盛り付け、汲み上げ湯葉を乗せ、出汁6、淡口醤油1、味醂1.2のべっこう餡を掛け、雲丹と花穂、前盛りに木の芽生姜を添えて供します。
前八寸
  • 半熟玉子は、小さいサイズの卵を用意し、沸騰した湯で5分程茹でます。その後、水に落として冷ましてから68℃のコンベクションオーブンで30分程度火を入れ、氷水に落として冷まし、冷えたら殻を剥き、庖丁してトリュフ塩を振ります。
  • 鯖市松寿司は鯖を水洗いし、三枚におろして骨を抜き、鯖の状態を見て3~4時間、べた塩をします。その後、昆布締めして、冷やした酢に20~30分程漬けます、寿司飯に、がり生姜、胡麻、大葉の刻みを混ぜた物を用意し、その寿司飯で先の鯖で棒寿司にして切り出し、市松柄に組みます。
  • 合鴨甲州煮は、合鴨を掃除し、フライパンで皮目をしっかりと焼き、身はさっと焼き、湯通しして油を抜いた後、煮切った赤ワイン5、赤ワイン1、濃口醤油1、味醂1の割合で合わせた地で、上下5分ずつポコポコと沸く位の火加減で落とし蓋をして炊きます。炊き上がったら取り出してラップで包み冷まします。地は氷水で冷やし、油が固まったら漉して、先の鴨肉を漬けます。半日位漬けて切り出し、地を程よく詰めて冷まし、刷毛で切り出した鴨肉に塗り、塗った側を内側に折り畳み、器に盛り込みマスタードと松の実を添えます。
  • 新イクラ醤油漬は、筋子をばらし、土佐醤油450cc、淡口醤油450cc、煮切り酒400cc、煮切味醂200ccの割合の地に程良く漬けます。大根、胡瓜、人参をそれぞれ刻んで塩もみして器に盛り、先のイクラを盛って針柚子を天盛りします。
  • 蛇籠サーモンは、スモークサーモンを切り出し、クリームチーズを芯に巻き、剥いた酢蓮根で包みます。
  • 占地粉唐墨まぶしは、占地をばらし、天火で焼目を付けた後、濃いめのあたりの吸地で炊き、冷まして水気をよく拭き取り、粉唐墨をまぶします。むかごは蒸して塩を振り、大きい物は庖丁します。揚銀杏は殻を剥いた銀杏を油で揚げて塩を振ります。占地、むかご、揚銀杏を松葉に刺します。公孫樹丸十は、公孫樹型に切り出し、水で晒した後、水気をよく拭き取り油で揚げます。
椀盛
  • 甘鯛は水洗いし、三枚におろして上身にします。庖丁して重量の1%の塩を当てなじませます。塩がなじんだら酒を振り蒸し上げます。蕪白玉は、蕪の皮を剥き表面に太白胡麻油を塗り、アルミホイルで包み200℃のオーブンで30分程度焼きます。焼き上がったら焦げた所は取り除き、粗めの裏漉しで漉して冷まします。白玉粉を先の蕪で練り、湯取ります。椎茸は庖丁目を入れ、茹でこぼしてから吸地で炊きます。黄菊はむしってよく洗い、酢水で茹でてよく水に晒し、昆布を差した水塩に漬けます。椀に先の白玉、甘鯛、椎茸を盛り、吸地によく水気を切った黄菊と芽葱を加え椀に張り供します。
造り
  • 鯛は水洗いして三枚におろし、上身にして皮を引き少々厚めのへぎ造りにします。皮は湯引いてバットで挟み、冷やして平らにし、末広に庖丁します。茗荷は繊維に沿って刻みます。胡麻醤油は焙り胡麻を当り鉢でよく当たり、土佐醤油で程よく延ばします。器に鯛を盛り、天盛りに鯛皮、前盛りに芒に見立てた茗荷、山葵を盛り、鯛のまわりから胡麻醤油を注ぎ供します。
焼物
  • 太刀魚は水洗いして三枚におろし、上身にして適宜に庖丁し、濃口醤油9合、味醂10合、ザラメ糖3合を合わせて焼骨を入れ、2~3割詰めた「たれ」で掛け焼きして仕立げに粉山椒を振り掛けます。栗は剥いて山梶子を加えて茹でて晒した後、蜜煮にして、その後天火で焼目を付けます。杉板を天火で炙り焼目を付け、先の太刀魚、焼栗を挟み、器に盛り供します。
強肴
  • 松茸は掃除して適宜に庖丁します。鱧は水洗いしておろし、上身にして骨切りし程よい大きさに切り、さっと霜降りし氷水に落とします。鰻の骨は水によく晒してから塩を当て、塩がまわったら霜降りして水・酒・昆布で出汁を取ります。鱧出汁は二番出汁と同割で合わせ、合わせ出汁18杯、淡口醤油1杯、酒0.5杯、味醂0.5杯で合わせ、火に掛け薄葛を引いて置きます。焼胡麻豆腐は、水5合、酒1合、当り胡麻1合、葛粉一五〇gで合わせて羽二重漉しにし、塩を少々入れて火に掛け練り上げます。練り上がったら流し缶に流し入れて冷やし固めます。後、切り出して刷毛で小麦粉を打ち、天火で両面焼目が付く程度に焼きます。鍋に焼胡麻豆腐、鱧、松茸を盛り、薄葛を引いた出汁を注ぎ、火に掛けます。出汁が沸いたら水菜と剥柚子を入れてひと煮立ちしたら供します。
油物
  • 無花果(いちじく)は天地を少々切り落として粉を打ち、天婦羅衣で揚げ、庖丁して器に盛り、出汁6杯、淡口醤油1杯、味醂1杯で合わせて追い鰹をした地に大根卸しを加え、ひと煮立ちさせた卸し出汁を注ぎます。才巻海老の湯霜と万頭寺唐辛子の素揚げを前盛りとし、髢葱(かもじねぎ)を添えて供します。
食事
  • 石川小芋は天地を落として六方に剥き、食べ易い大きさに庖丁し、塩を振り、もんでぬめりを切り、塩を洗い流し晒します。土鍋に洗い米と先の石川小芋を入れ、飯地とし、昆布出汁と二番出汁を同割で合わせ、塩で味を調え、少々の酒と香り付け程度の淡口醤油を加えた出汁を注ぎ、炊き上げます。ちりめんじゃこは油で揚げて温かいうちに青海苔を振り混ぜ、土佐醤油をからめます。ご飯が炊き上がったら先のちりめんじゃこを混ぜ込み、三つ葉を添えて供します。
水菓子
  • 長野パープルは横半分に庖丁します。ラ・フランスは皮を剥き一口大に庖丁します。渋皮栗は鬼皮を剥き、戻して太目の繊維を取り除き、コーヒー味の蜜で含ませ、縦半分に庖丁します。小豆は程良く戻し、薄蜜で含めます。琥珀羹は、薄蜜の寒天地に濃口醤油を加えて冷やし固め、小角に庖丁します。先の材料を器に盛り込み、柿をすり卸してシロップで甘さを調整し、香り付けにブランデーを少々加えた物を掛け、ミントを天盛りにして供します。
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