日本たべもの総覧
日本たべもの総覧(34)
ウイスキー【ういすきー】
蒸留酒の一種でイギリス、特にスコットランド産に逸品が多い。大麦を主原料とし、小麦、ライ麦、えん麦、とうもろこしなども用いる。本来は無色であるが木樽に入れて貯蔵、熟成を待つうちに樽の色がしみ出て、赤味をおびるので樽の内側を焦がすようになり、さらに色素を加えることも行われている。最近では国産品のサントリーやニッカウイスキーもかなり優秀になっている。
葡萄酒【わいん】
ぶどうを原料とする醸造酒。ブドウ果汁に含まれる糖分をアルコールと炭酸ガスに転化させ、発酵の済んだワインを樽やビンで一定期間熟成させてから飲用する。ワインはビールやウイスキーと異なり、限られた期間しか造れず、大量生産がきかない酒である。自然に一番近い酒だけに自然から影響を受けやすい。ブドウの品種、土壌、日照、湿度、雨量などによっても微妙に変わってくる。色で分けると赤ワイン、白ワイン、ロゼワインに分けられる。赤ワインは赤ブドウの果皮を一緒につぶして発酵させたもの。主に肉料理に合う。白ワインは白ブドウの果皮、種子等を取り除いて果汁のみを発酵させる。淡白な魚料理や鶏肉料理に合う。ロゼワインは赤ワインと白ワインの中間のピンク色で、フランス語のバン・ロゼはバラ色の花の酒という意味がある。肉や魚に限らずどのような料理にも合う。
ビール【びーる】
ビールはもと古代エジプトで醸造された酒である。ギリシャとローマを経てドイツやベルギーに知られ、やがて海を越えてイギリスでも造られた。
どの場合も家庭で用いる程度でわずかに僧院で量産したに過ぎなかった。それが18世紀に至って、大量に醸造するようになり、今日に至っている。ビールが現在のように苦みと芳香を加えるようになったのは、10世紀頃のドイツがはじまりであり、ビールの本場といわれる理由もここにある。イギリスでウイスキーが発達したのは、ビールで遅れをとったからだといわれている。
日本ではすでに幕末の頃ビールを醸造を試みた蘭学者がいたが、本格的に造られたのは明治30年代からのことである。バブル期までは日本人のビール消費量はうなぎ登りであったが、現在は激減している。酒税のかからない第三のビールや発泡酒などの開発で、ビール党も庶民感情から安いビール擬きの方にシフトしているようだ。ビールは本来大麦・小麦を主原料とするが、現在では麦芽の一部を米、とうもろこし、じゃがいもなどで代用する地ビールなども盛んに造られるようになった。
参考資料「日本たべもの百科」新人物往来社刊