調理師日誌

2018年8月号編集後記

残暑お見舞い申し上げます

平成三十年 立秋
編集部一同

 昨年夏同様に異常気象が日本列島を覆っています。とりわけ7月23日に最高気温が埼玉県熊谷市によって41.1℃に更新され、昨年記録した高知県四万十市の40℃を塗り替えました。

体温でさえ40℃を越える高熱は危険であるのに体感温度はゆうに43~5℃。直射日光下の車の屋根は触れない位で車中は60℃を越えています。熱中症の救急搬送患者数は昨年同時期に比べて3倍にもふえているとか。家の中での熱中症もふえており、「心頭を滅却すれば火もまた涼し」などと我慢している場合ではありません。

避暑地の軽井沢では異変があり、避暑に訪れた客がすぐ引き返す傾向が見られ、これまではクーラーも不要だった快適な土地で電機屋さんがエアコンの取り付け作業に追われているといいます。

土用丑の日に鰻屋の暖簾をくぐれるゆとり世代はともかく、一般庶民が涼を求めて昔ながらのかき水屋やビヤガーデンで暑気払いをする光景には風情があり、お盆休みや夏休みに海、山、古里などへの墓参りも情緒があって良いものです。夜空を彩る花火大会や軒先での線香花火、浴衣姿の盆踊り、縁日の金魚掬いも親子連れの似合う夏の風物詩です。

編集長 富田正藤

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2018年7月号編集後記

 梅雨入り・梅雨明けは暦の上でいう場合と気象庁で宣言する場合とでは異なります。現代の日常生活ではもっぱら気象庁の発表により周知され、梅雨の期間は一般に夏至(今年は21日)を中心として二十日前後の雨期をさしています。

 梅雨明けは沖縄が最も早く、日本列島を北上しながら東北地方が最後に明けます。北海道には本州付近の梅雨前線が弱まるために梅雨がなく、十日間程度の長雨がある場合は蝦夷梅雨といいます。この時期の北海道は広大なラベンダー畑が青紫一色になり、梅雨時に多くの観光客が訪れる魅力の一つになつています。

 日本食の世界的な普及には目覚ましいものがあります。近年では中国に次ぐ人口十三億人のインドに日本食を出す店が増え、特に若者やファミリー向けに70店舗も数えるといわれます。

 これに輪を掛けるように、すでに海外10カ国に約800店舗を構える「牛丼の吉野家」が進出し、2020年までに100店舗を目指すという。人口の八割がヒンドゥー教徒のため牛肉は扱わず、イスラム教徒の豚肉も使わず、鶏肉をアレンジしたものやベジタリアン向けのメニューを開発中であるとか。外食産業も少子高齢化で人口が減少する一方の国内需要に見切りをつけ、海外に活路を見出しているのが現状です。

 ところで、あと2年後に迫った東京五輪に向けてインバウンドで激増する外国人観光客のための和食のもてなしも掛け声だけで終わらないようにしたいものですが、ホテル・旅館にとっては痛し痒しの問題が民泊です。住宅宿泊事業法が施行され、届け出をすれば異業種からの参入が可能になり、蓋を開ければ何百件程度で意外とハードルが高い。最も不安なのが闇民泊となりそうです。

編集長 富田正藤

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2018年6月号編集後記

 水無月(みなづき)は陰暦六月の古称ですが、一般に水の月の意といわれています。瑞穂の国にとっては田植えの後の最も水を必要とする時期で、梅雨前線が停滞し最も多く雨を降らせます。農事暦としては田植えも済み、田毎に水をたたえる月になります。一説には文字通り、梅雨が明けて水も涸れ尽きる月であるともいう。

 水無月という和菓子が京都の銘菓にあります。白黒の外郎(ういろう)の上に蜜漬けの小豆(大納言)を散らし、厚さ2cm弱に蒸し上げて三角に切ったものです。京都では6月になると一斉に売り出されます。6月30日の夏越しの祓えを中心に食べる季節の菓子ですが、日本料理でもその形に因んだ水無月豆腐などの料理名があります。

 この時季の蕨の根茎から取った澱粉(わらび粉)で作る本蕨餅や本くずで作る葛餅も黄粉(きなこ)をまぶして食べます。季節を問わず食べられている黄粉餅に類する銘菓はつきたての餅に黄粉をまぶす安倍川餅。また和菓子に不可欠の小豆あんをまんべんなく塗りつけたあんころ餅。代表的なものはお伊勢参りにつきものの赤福餅でしょう。

 伊勢参りの長旅でお腹を空かした参拝客に少しでも早く出せるように、餡を餅でくるむより素早くできるように考案されたといいます。本来は軽食として腹持ちの良い塩餡で作られたもので、今でも箸を添えて出されるのはその名残りといわれています。

 鮎漁の解禁とともに鮎料理が献立を彩る季節となります。一方ではまた、梅雨時は夏に向かって食中毒の原因となるサルモネラ菌などが発生しやすくなります。食材は勿論のこと庖丁や俎板、器具類も加熱処理が重要になります。念には念を入れて用心しましょう。

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2018年5月号編集後記

 平昌オリンピックを契機に北朝鮮と韓国の統一への動きが加速されています。世界中が注目する中、TV中継を通して4月27日に南北の軍事境界線にある板門店の平和の家で北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)委員長と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の会談が十年半ぶりに実現し、長年休戦状態にある朝鮮戟争の「終戟」を年内に宣言、平和協定を結ぶという約束を交わしました。

 さらには6月初旬までに予定されているトランプ大統領との世紀の「米朝首脳会談」が北朝鮮の完全非核化を前提に実現する見通しとなりました。つい昨年までは米国本土に届くミサイル開発に執念を燃やし、国連決議を無視して世界中から経済制裁を受けていた北朝鮮の豹変ぶりは要注意。「拉致問題」を抱える日本にとって、手放しで喜ぶ事態ではないようです。

 近年の異常気象は気候風土に恵まれてきた美しい日本の四季の変化に影響を及ぼしています。今年の花見シーズンに連動した桜祭りは後の祭りに終わった地方が多かったようです。また気温の変化は極端で、早春の北海道で30℃を記録したかと思うと、また真冬に戻って雪が降り、全国的に温度差が10℃以上の日が続きました。すでに海水温の上昇で魚介の生態系にも影響がでています。

 もっとも四季折々の天然物はすでに養殖や促成栽培などの人工的なものに代えられており、今に始まったことではありませんが、旬の食材と季節感を重視する日本料理にとっては困った現象で、地球規模で温暖化防止に対処する必要があります。

 真夏の東京オリンピックも二年後に迫りましたが、暑さ対策はどうなることやら。頭を冷やして考えよう。

編集長 富田正藤

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2018年4月号編集後記

 今年は明治元年(1868年)から数えて150年になる「明治維新150年」の年にあたります。NHK大河ドラマも幕末推新期の薩摩藩士西郷隆盛を扱った「西郷どん」が人気を呼んでおり、観光業界はゴールデンウイークや夏休みに向けて「かごしま明治維新博」を開催する鹿児島県を中心に九州方面へのPRに力をいれているようです。

 百花繚乱の春から新緑の初夏へと移ろう季節がまさに黄金週間です。昭和の日、振替休日、メーデー、憲法記念日、みどりの日、こどもの日と続きます。来年の五5月1日は生前退位によって天皇陛下が代わります。平成も終わり、新元号になります。

 年頭の国会も昨年来の森友学園の国有地売却問題が再燃し紛糾しています。8億円もの値引きがなぜ行われたのかが焦点になり、近畿財務局と森友学園(籠池理事長)との間の決裁文書(結果的には大幅に改ざんされたもの)が国会に提出され審議されてきました。その際にすでにもとの交渉記録は廃棄し、どこにもないと答弁していた当時の佐川宣寿財務局長の嘘がばれた上に、交渉経過や安倍首相夫人の名前がすべて削除された事実が発覚。その責任をとって佐川国税庁長官は辞任に追い込まれました。「誰が、なぜ、どのように改ざんしたのか」真相究明のための佐川前局長の証人喚問が3月下旬に行われます。

 永朋舎創立二十五周年記念祝賀会(10月21日)に向けた記念号の準備にとりかかります。会員の皆様にはご協力のほど宜しくお願い致します。

編集長 富田正藤

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