調理師日誌

2024年12月号編集後記

月日の経つのは早いもので、今年のカレンダーも霜月(11月)をめくるといよいよ師走(12月)となります。もともとは陰暦(月の満ち欠けを基準にした暦)の異称ですが、現代は地球が太陽の周りを一周する時間を一年と定めた太陽暦に合わせて日本では「和風月名」として良く用いられる月名があります。その代表的なものが12月の師走といえます。

年の暮れは「歳末多端」の用語があるように、商いの決済や正月の準備など何かと用事が多いものです。俗に法師(坊さん)が頼まれてお経を読むのに奔走することから「師馳せ月」が「師走」になったと言われています。もっとも「師走坊主」の用語があり、歳末はお布施も無く落ちぶれた坊主が多いことから、みすぼらしい者の例えに用いられる言葉でもあるようです。

2024年の新語・流行語大賞のノミネート語30が発表されました。インバウンド現象によるコンビニ富士山(コンビニの背景に聳える富士山が観光スポットになりマナー違反続出)、インバウン丼(1万円もする高級海鮮丼)、裏金問題(政治資金パーティの不記載問題=この結果、解散総選挙で与党が過半数割れとなる)、被団協(日本のノーモア・ヒバクシャの原水爆被爆者団体がノーベル平和賞受賞)、令和の米騒動、50-50(ドジャース大谷翔平の50本塁打・50盗塁新記録達成)、マイナ保険証一本化、新紙幣、新NISA、名言が残せなかった(パリ五輪でヤリ投げ金メダル北口選手のコメント)などが選出されましたが、新年早々の能登半島地震はノミネートされませんでした、12月2日に大賞が決まるそうです。

令和6年は永朋舎にとって創立三十周年記念式典・祝賀会の開催が重大ニュースでした。三十五周年のスタートとなる令和七年が会員皆様にとってより良い年になりますよう願い上げます。

編集長 野澤 武

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2024年11月号編集後記

9月29日の関西調理師永朋舎創立記念式典及び祝賀会はホテルオークラ平安の間に於いて盛会裡に終了しました。会長の指導の下、役員一同の一致協力により第一部式典から第二部の祝宴までタイムスケジュールに沿って進行し、予定時間通り閉会の辞で締めくくる事が出来ました。

永朋舎の動向が注目され、また期待する声の多い祝辞を肝に銘じると共に、役員・会員は元より関係者の皆様の格別のご支援・ご協力に感謝申し上げます。今月からは次なる節目の三十五周年に向かって新たな一歩を踏み出すことになります。

折も折、自民党の総裁選で石破茂総裁が誕生し、臨時国会で第102代首相に選出され、自公連立の石破内閣が発足しました。国民に対し、その新内閣の信を問うとの大義名分で総裁選での意に反し、衆議院を解散、10月27日の総選挙に突入しました。裏金問題をはじめ、与野党共に準備期間のないままの選挙戦となりました。これが裏目に出るか否かは投開票の結果を見るまでわかりません。

海の向こうでは、民主党のハリスと共和党のトランプの対決による米大統領戦(11月5日)も大いに気になりますが、個人的にはそれ以上に大谷選手のMVPが期待されるワールドシリーズでヤンキースとドジャースが激突する試合のほうが楽しみでもあります。

気候変動で10月になっても真夏日が記録されるなど、とりわけ猛暑による四季折々の季節の野菜や果物に異変が生じています。秋の味覚の茸類(栽培も含めて)、貴重な国内産の松茸なども不作だそうで、新米などは一時の米不足の状態のまま価格は昨年より大幅に値上がりしています。諸物価高騰の折柄、庶民の生活は節約を強いられており、石破新首相の真価が問われます。

編集長 野澤 武

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2024年9・10月号編集後記

コロナ禍の影響で1年延期となった関西調理師永朋舎創立三十周年記念式典を目前に控え、今回は初めての試みで、記念号となる『永朋』を9月・10月の合併号として発行することになりました。

恒例の祝辞原稿は業界団体代表の(一財)日本食生活文化財団理事長 三田芳裕様、特別賛助店代表 金田中社長の岡副真吾様をはじめ、特別賛助店、業界団体、友好団体の皆様から寄せられたご丁重なる21名の御祝辞は、いずれも「苦節三十年」を乗り越えて発展の一途をたどる永朋舎の存在感を示す称賛のお言葉でありました。会員一同肝に銘じてこれからのさらなる成長と発展の励みとなるメッセージでもありました。

また、会員の料理人としての成長ぶりを表現する口絵の12ヶ月の会席料理「献立十二の綴り」は記念号を飾るにふさわしい珠玉の作品集となりました。

なお、「永朋ニュース」で辿る30年の足跡は、平成5年(1993)から始まり、令和6年(2024)までの各号の永朋ニュースの見出しを時系列でまとめた年表形式にしました。したがって、従来型の1期2年ごとの「役員名簿」や周年記念の「集合写真」は割愛しました。現在の役員名簿は従来通り次号(十一月号)に掲載致します。

平成6年の創刊号から数えて今月で通算365号となりますが、月刊誌として発行を正常に戻すための原状回復を期するやむを得ない調整でもあります。したがって11月号から10月25日の発行に戻ります。

9月29日の創立三十周年記念式典及び祝賀会が滞りなく盛会裡に遂行できるよう一致協力し、是非とも成功させましょう。

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2024年8月号編集後記

政府の統計によると今年度(2024年)6月までのインバウンドによる訪日外国人旅行者数は1,788万人となり、上半期の人数としては過去最高を記録したそうで、このペースで推定すると年間3,500万人となり、旅行消費額は8兆円になると言います。コロナ禍あけの反動と超円安の影響によるところが大きいようです。

岸田首相の説明では、政府の目標は2030年に訪日客数6,000万人、旅行消費額15兆円をもくろんでおり、地方への誘客促進とオーバーツーリズムの未然防止、抑制に取り組むことが重要であるとも述べています。

夏野菜と言えば胡瓜や茄子、トマト、南瓜、冬瓜、ジャガ芋、玉蜀黍、唐辛子などがあります。現代では大概のものがハウス栽培で周年出回るようになり、昔のような旬の時季を待つ高揚感が薄らいでいます。胡瓜の原産地はヒマラヤ山麓といわれ、中国やインドからシルクロードを経由して東西に伝わったといわれています。胡瓜の胡は胡(西域)の瓜という意味で、南方のカンボジアから伝わったカボチャ=南瓜(原産地はアメリカ)と同類の漢字です。料理では蛇腹胡瓜や若採りの諸胡瓜、葉付き胡瓜、西洋風のピクルスなどに用いられます。

胡瓜といえば妖怪のカッパ(河童)を連想しますが、胡瓜の海苔巻をカッパ巻と称するのはカッパの好物だからとの伝説によります。昔から地方によって河童を水神として祀るところがあり、今でも胡瓜の初物を河童の水神様に供える風習があるようです。

目下、パリ五輪で日本人選手のメダルラッシュが始まっていますが、本誌がお手元に届く頃には最終結果が出ていることでしょう。残暑厳しき折、熱中症にご注意願います。

編集長 野澤 武

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2024年7月号編集後記

日進月歩、時代は進歩しており、コンピューター全盛となった現代、機械的なものからあらゆる情報まで、従来のアナログ方式からデジタル方式に変わり、しかも地球規模どころかGPS(位置情報)を含めた宇宙規模で急速に普及しています。

最も身近で早かったのは電話と時計のデジタル化でした。勿論現在でも併用されていますが、時刻表示がアナログの長針・短針表示から文字(数字)表示に代わり、音源の媒体もレコードや磁器のカセットテープからCDRやSDカード、さらに容量の多いUSBに、また映像もVHSからDVDやハードディスク等に、フィルムカメラはデジカメに代り、全盛を究めた
かと思われましたが、携帯電話(スマホ)の高性能機能による写真や動画撮影に取って代わりました。

その結果、SNS上では膨大な量のグルメ情報やあらゆる商品の通販サイトがユーザーを虜にし、サイトによっては投資詐欺も横行して被害者が続出。儲かる話には要注意です。

キャッシュレス時代に先鞭を付けたキャッシュカードと併行し、最近ではスマホでポイントの貯まるアプリを使い、QRコードの読み取りで決済するケースが多くなりました。そんな折に、7月3日から新しい紙幣が発行されるということで話題になっています。20年間慣れ親しんだ福沢諭吉の旧一万円札を、近代日本経済の父「渋沢栄一」の新札に替える人が銀行に殺到するかもしれません。因みに五千円札は樋口一葉から津田塾創立者の津田梅子に、最も多用される新千円札は野口英世から細菌学者の北里柴三郎に代ります。タンス預金の方は枚数に制限があるようですので、大量に持ち込まないで美味しい料理を現金払いで済ませてからにしましょう。

編集長 野澤 武

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