調理師日誌

2024年1月号編集後記

謹賀新年

本年も会員皆様の変わらぬご愛顧とご協力のほど
何卒よろしくお願い申し上げます。

2024年 元旦
編集部一同

新年早々の元日午後4時過ぎ、北陸石川県の能登半島でマグニチュード7.6(震度7)の地震と津波が発生し、火災や土砂崩れ等による二次災害で珠洲市や輪島市などが壊滅状態に見舞われています。

日本三大朝市の輪島朝市の街が全焼し、和倉温泉等の名旅館が被害を受け、休業を余儀なくされました。真冬のライフラインが寸断され、家屋の倒壊は帰省して炬燵で寛いでいた姉妹の命を一瞬にして奪い去り、2時間前に正月に集まっていた家では家族や親戚の人達を突然押しつぶすことになるなどの衝撃的な悲報が報道されています。

また、倒壊した家屋の下から124時間ぶりに救出された老人のニュースは生命力の可能性を示唆してくれました。

今なお厳寒の中で避難されている方々に、一刻も早く救援物資が届くことを祈ります。また安否不明者の発見を願ってやみません。

この度の能登半島地震により犠牲となられた方々、被災された地域の皆様には心からお見舞い申し上げますと共に一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

編集長 野澤 武

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2023年12月号編集後記

2023年の流行語大賞は「アレのアレ」でした。阪神のリーグ優勝アレと日本シリーズを制したアレのことですが、アレコレ言ってる場合でないのが2年後の大阪・関西万博のことで、予算総額が最大2,350億円にもなる上に、日本館建設費用が360億円を計上することになると言います。

開幕まで500日を切ったのに遅々として進まない工事も不安要素ですが、海外のパビリオン(展示館)出展申し込みも少ないようで、入場券が発売されたものの関西圏の市民の反応は鈍く先行き不透明です。開催後のインバウンド等による経済効果を期待する向きもあるようですが、停滞していたコロナ禍後のカンフル剤になるでしょうか。

異常気象は相変わらずですが諸物価の上昇と金相場の高騰がやまない一年になりました。

古今東西世の中にはお金持ちが沢山いますが、一方ではにわかに金持ちになることを成金といいます。藤井八冠ではありませんが、将棋では歩(歩兵の略=雑兵)でも敵陣に入れば「と金」となり、金将と同じ働きをすることから出た言葉で、多くの場合、成金趣味とか土地成金というように軽蔑の気持ちを込めた言葉になっています。

ところで、誰もが認める正真正銘のお金持ちになりそうなのは、目下MLBで話題を独占しているFA選手大谷翔平でしょう。人気絶頂で超大型トレードの行方が連日報道されており、在籍中のエンゼルスからどの球団に移籍するのか、その契約金が総額5億ドル(約735億円)以上といわれているようです。今年も二刀流で大活躍し、ホームラン王とMVPに輝き、観客は元よりCMやキャラクターグッズの売り上げは天井知らずの様相を見せています。

行く年来る年、大詰めの時期となりました。永朋舎の創立三十周年式典は来年秋に予定されています。一年間、ご愛読いただきました会員の皆様にはどうぞ良いお年をお迎え下さい。

編集長 野澤 武

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2023年11月号編集後記

月日のたつのは早いもので2023年(令和5年)の日めくりカレンダーも残り少なくなりました。歳月流るる如し、歳月人を待たずという言葉もあります。年月は人の都合にかかわらず過ぎてゆき、少しの間も止まらないので、今の時を大切にして努力せよ、という戒めでもあります。

仕事に追われている場合と暇を持て余して過ごしている場合では、同じ時間でもどちらが時間の早さを感じるかといえば、前者の方でしょう。それにつけてもコロナ禍の3年は長かったと思います。常に動いている社会・経済の停止・停滞はあらゆる分野に影響を及ぼし、いわゆる歯車を狂わせてしまいました。元通りに回復するのにどれだけの時間がかかるでしょうか。

この時期になると、その年の新語や流行語大賞候補の話題が新聞やネット上を賑わせます。阪神タイガース38年ぶりの優勝を意味した「アレ」とか大谷選手の「憧れるのをやめましょう」、将棋の最年少「藤井八冠」、コロナ禍明けの「五類」や「四年ぶり」、インバウンドによる外国人観光客殺到のマナー「オーバーツーリズム」等の他、「生成AI」、「闇バイト」、「蛙化現象」、「性加害」、「10円パン」等、多岐にわたり、12月には大賞が決まります。因みに昨年は野球の「村神様」でした。

地球上の異常気象が年々増大する中で、ウクライナの惨状を思い出すことなく、今度はハマスとイスラエルの戦争が激化してパレスチナ・ガザ地区の空爆により、多くの子供たちの犠牲者が後を絶ちません。一日も早い終結を祈るばかりです。

稔り豊かな味覚の秋は晩秋を経て、冬支度の献立に移ろいゆく頃です。四季折々の旬の素材を堪能する日本料理を次の世代に継承すべく、後進の指導育成に精進したいものです。

編集長 野澤 武

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2023年10月号編集後記

「暑さ寒さも彼岸まで」といわれますが、昔から雑節の一つで、彼岸とは春分の日と秋分の日を中日とする7日間をいいます。夏の暑さも冬の寒さも彼岸を境にしてほどよい気候になることを表しています。

本来の彼岸(ひがん)とは事典によると、仏教の教えで人が生死の海を渡って向こう側の岸に到達する悟りや終局、理想の世界のことをいい、俗に“あの世”のこと。また逆に、悩みや迷いに満ちた現実世界は此岸(しがん)といい、“この世”のこととあります。年中行事では彼岸会(ひがんえ)と称する仏事があり、先祖を供養するために墓参りをします。季語では単に“彼岸”といえば春のお彼岸のことで、秋のお彼岸は“秋彼岸”というそうです。

今年の夏は観測史上最も暑い夏となりました。9月27日付の新聞では東京・大阪で真夏日が89日、福岡で88日、名古屋では90日を数えています。全国的にも7~8月の平均気温が高く、猛暑による家畜の大量死が問題となりました。秋田県の比内地鶏が2,500羽、山形県では鶏が6,900羽、牛は103頭、豚は100頭も死んでおり、飼育する農家では甚大な被害を受け
ています。当然ながら農作物への影響が大きく、葉物野菜や果物にも被害が出ており、これから出回る新米の品質にも影響があると思われます。

相変わらず中国の偏見による日本の海産物の輸入差し止めは続いていますが、地球温暖化に起因する海水温の上昇によって、北海道ではサンマやスルメイカの漁場が遠のき、食べ付けないフグが獲れたり、鮭の代わりにブリの豊漁が続くなど、日本近海の生態系が少しずつ狂い出しています。

魚の生育には植物プランクトンが不可欠で、海水温の上昇ですでに南から北ヘプランクトンが移動していると言われ、今後は陸上養殖などの開発が進むと共に、日本人の食生活も変化に対応していく必要があるようです。

編集長 野澤 武

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2023年9月号編集後記

今年の9月1日は関東大震災から100年を数えるという。

大正12年(1923年)9月1日午前11時58分(ほぼ正午)に、関東南部を襲った大震災。震源地は相模湾中央でマグニチュード7.9。関東全域と静岡、山梨に地震火災の被害があり、死者・行方不明者10万5千余人といわれています。この関東大震災により、江戸慶長年間に始まった日本橋魚市場(魚河岸)が被災し、千住や芝金杉などの市場を統合して昭和10年(1935年)築地へ移転し、広さ22万平米の東京都中央卸売市場に改組されました。

以来、80年以上にわたり、日本の食文化を支え、プロ・アマ問わず都民の台所としても親しまれてきた築地市場が閉場し、平成30年(2018年)に築地場外市場(築地魚河岸)を残し、新天地豊洲市場に移転して現在に至っています。

近年の大震災と言えば、平成23年(2011年)3月11日に発生した東日本大震災はマグニチュード9.0(世界観測史上4位)の巨大地震と10mを超える大津波に襲われ、福島第一原発が水素爆発し、最も恐ろしい原発事故が起きました。つまりメルトダウンが起きて大量の放射性物質が飛散し、半径20キロ圏内の住民が避難を余儀なくされました。

あれから12年経ち、溜め置いた放射能処理水を、安全性の国際基準を下回る基準で科学的に処理し、環境省の検査のもと、30年以上掛けて海に放出する最終段階に来ているとのことです。

これに対し中国政府は猛反対し、福島産魚介類どころか、日本産や日本製の製品まで輸入差し止めと不買運動を助長させる暴挙に出て、国際世論からも顰蹙(ひんしゅく)を買っています。中国料理の高級食材に不可欠な干し鮑や干し貝柱に用いる日本産の代用はあるのでしょうか。

編集長 日比野隆宏

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