調理師日誌

2021年1月号編集後記

 世界中に蔓延した新型コロナウイルス感染症拡大に明け暮れた令和二年が越年し、コロナウイルス第三波の脅威をそのままに令和三年を迎え、これまで経験したことがない前途多難な思いを強く抱かせます。

 圧倒的な感染者数を更新中の東京都では、重症患者を受け入れる病床数は確保できても同時に必要なスタッフ(医師や看護師)の確保は困難で、まさに医療崩壊寸前であるといいます。本来の病院の使命としてはコロナ以外の一般の患者を犠牲にすることはできません。

 それにつけても時短・自粛の二度日の「緊急事態宣言」の発出が予測される中、コロナ禍の感染源が飲食店の会食にあると目されるのは私たちが従事する飲食業界にとって不運の極みであり、死活問題になりかねません。業態によってはケータリングに切り替えて急場を凌ぐことも可能ですが、接待を伴うような飲食店などはほぼ不可能なことです。

 どのような時代であっても飲食業界が活況を呈さないと明るく平和な社会生活は望めません。何はともあれ今年こそ早期の収束を願いたいものです。

編集長 日比野隆宏

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2020年12月号編集後記

 3密、愛の不時着、あつ森、アベノマスク、アマビエ、オンライン○○、鬼滅の刃、GoToキャンペーン、ソロキャンプ、フワちゃん。以上が今年の世相を反映した「2020ユーキヤン新語・流行語大賞」ベスト10というわけでコロナ関連の言葉が目立つ中で、年間大賞は「3密」でした。換気の悪い密閉空間、多くの人々の密集する場所、近距離での密接した会話=密閉・密集・密接の三つの密のことで、主として東京都小池知事がTVで呼びかけたのが切っ掛けになりました。今なお感染が拡大する中で3密を避けるのが基本条件になっています。

 年末の忘年会やクリスマスシーズンを迎えるにあたり、全国で最も感染者の多い東京都は、一日五百人を超えたため四段階の警戒レベルを最高レベルに引き上げると共に、会食事の注意事項として小人数、小一時間、小声、小皿(取り分ける)、小まめ(マスク・換気・消毒)の「五つの小」の合言葉をキーワードに改めて感染防止策の徹底を図ろうとしています。巷ではそんな心配が無用なほど、今年は忘年会を見送る企業や会社が大半のようで、稼ぎ時の飲食業界としては大変な痛手となります。

 65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人は自粛し、感染者が急激に増加している県などへのGoToトラベル・イートは制限されるなど、キャンペーンそのものがなかなか軌道に乗らないまま来年前半まで期間延長となりそうです。その先には一年遅れの東京オリ、パラが控えておりますが、一寸先は閣の状況でもあります。

 永朋舎恒例の懇親会は来春二月の開催が現状では延期となりそうです。予定が決まり次第、事務所からご案内することになっています。

 会員の皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。

編集長 日比野隆宏

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2020年11月号編集後記

 思いがけなく好運が巡ってくることを「棚から牡丹餅」(略して棚ぼた)といいます。今回の首相交代劇で総理の座についた前官房長官菅義偉(すがよしひで)氏の場合にふさわしい諺のようです。

 安倍総理は来年秋の任期を待たずに健康上の理由で辞任し、連続在任日数2,822日の記録を残して首相官邸を去りました。令和2年9月16日、第九十九代目の総理大臣として菅内閣が発足しました。所信表明では理想とする国家像を掲げることもなく、携帯電話料金を下げ、2050年までにCO2をゼロにすると宣言し、国難ともいえるコロナ禍の現状を早期のワクチン対策によって克服するという勇猛果敢な意気込みは感じられました。親の七光りもなく叩き上げの政治家と自称するだけあり、無派閥の強みを発揮して辣腕を振るい前途多難な日本の舵取りをお願いしたい。

 日本料理店などで「老舗」(しにせ)という先祖代々から続いて繁盛しているまたは有名になっている店があります。語源は「仕似せ」(巧みにもの真似をする)からきているようですが、同意語の「のれん(暖簾)」は日除けのために軒先に張る短い布のこと。本来禅家が冬季の隙間風を防ぐために用いた垂れ幕で、江戸時代以降商家が屋号を染め抜いて店の出入り口に下げたのが始まり。一般に部屋の出入り口に仕切りや装飾用に使うものもあります。

 商家では店の格式や信用を表したり経済用語にもなっています。のれんを守る、のれんに傷がつく、のれん分けなどのほか、手応えのない「暖簾に腕押し」があります。

 目下、新型コロナの第二波が欧州で猛威をふるい始めています。年末に向かいせめてインフルエンザ予防接種だけでも早めに受けましょう。

編集長 日比野隆宏

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2020年10月号編集後記

 実りの秋、食欲の秋というのに寝ても覚めてもコロナ、コロナで東京はじめ全国の感染者数に一喜一憂するこの頃ですが、アクセルとブレーキに例えられるように、待ったなしの経済促進を図れば人の動きが密になり、感染率が高くなります。ほどほどにバランス良く使い分けるには一にも二にもマスク着用の上、密なる環境での接触を避け、徹底した予防を心がけるしかないようです。

 アクセルの部分では1.7兆円を投じるGoToキャンペーン(大半は観光産業を支援するトラベル・キャンペーン)の効果にかかっています。今月から東京都も解放されるため大いに期待されます。また、外食産業も需要を喚起し、食材の生産者を支援するGoToイートもはじまり、地域共通のクーポン利用も合わせて来春三月までの期間限定ではありますが、感染の収束を願いつつ私達の従事する飲食業界が一日も早く回復するよう心底願いたいものです。それにつけても安全で効果的なワクチンの開発が待たれます。

 収穫の秋を迎え、一日も休まず手塩にかけ、農作物を育てる生産者の苦労は計り知れないものがあります。その収穫直前の作物を横取りするという盗難事件(窃盗罪)が横行しています。初夏のさくらんぼから、メロン、西瓜、ぶどう、なし等のフルーツが主体ですが今年は子牛や豚などの家畜も大量に盗まれており、一連の窃盗団によるものと思われますが、ついぞ逮捕されたというニュースは見たことがありません。

 オレオレ詐欺も手を替え品を替えで捕まるのはごく一部、被害者は後を絶ちません。近年はネットによる犯罪も多発しています。「私はだまされない」というNHKの警告番組は重要です。国勢調査の時期ですが彼らの職業欄は気になります。

編集長 日比野隆宏

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2020年9月号編集後記

 ドイツのメルケル首相は14年9ヶ月も連続して在任中とのことですが、日本の安倍晋三首相はこのほど持病再発を理由に歴代首相の最長記録2,799日(7年8ヶ月)を達成し、大叔父の佐藤栄作首相を超えた直後に来年秋の任期を待たずに辞意を表明した安倍首相。まさに経済政策のアベノミクスで始まり、新型コロナウイルス対策のアベノマスクで締めくくられました。

 後任の総理の座を巡り、自民党内では派閥領袖の論理が優先し、全国の党員や若手議員の抗議も空しく全党員の投票を見送り、安倍路線をそのまま引き継ぐ結果となる気配が濃厚のようです。

 8月10日北海道では小型船による秋のサンマ漁が解禁になりました。近年は極端な不漁続きで昨年の水揚げ量が過去最低の4万トン(2018年の3割)でしたが、今年はそれを下回るほどの記録的な不漁になるといわれています。古典落語の「目黒のさんま」でお馴染みの大衆魚が今では貴重な高級魚となりそうで、東京の風物詩の一つ、毎年9月に行われる7千匹のサンマが振る舞われる「目黒のさんま祭り」も今年はコロナの影響で中止と聞いています。昨年は不漁のため全て冷凍サンマで実施したということです。

 「秋刀魚が出ると按摩が引っ込む」という諺があります。意味は秋になり秋刀魚が出回る頃になると、気候や栄養の補給がよくなって、あんまにかかる人がなくなるという。同義語に「蜜柑が黄色くなると医者が青くなる」「柚子が色づくと医者が青くなる」などがあります。今ではコロナにかかると医者が青くなり、医療崩壊が懸念されるというものです。

 実りの秋だというのに、今年はコロナ禍によって飲食業界も観光業界も、これまで経験したことのない苦境にたたされており、マスクから解放される日が待たれます。

編集長 日比野隆宏

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