調理師日誌

2020年9月号編集後記

 ドイツのメルケル首相は14年9ヶ月も連続して在任中とのことですが、日本の安倍晋三首相はこのほど持病再発を理由に歴代首相の最長記録2,799日(7年8ヶ月)を達成し、大叔父の佐藤栄作首相を超えた直後に来年秋の任期を待たずに辞意を表明した安倍首相。まさに経済政策のアベノミクスで始まり、新型コロナウイルス対策のアベノマスクで締めくくられました。

 後任の総理の座を巡り、自民党内では派閥領袖の論理が優先し、全国の党員や若手議員の抗議も空しく全党員の投票を見送り、安倍路線をそのまま引き継ぐ結果となる気配が濃厚のようです。

 8月10日北海道では小型船による秋のサンマ漁が解禁になりました。近年は極端な不漁続きで昨年の水揚げ量が過去最低の4万トン(2018年の3割)でしたが、今年はそれを下回るほどの記録的な不漁になるといわれています。古典落語の「目黒のさんま」でお馴染みの大衆魚が今では貴重な高級魚となりそうで、東京の風物詩の一つ、毎年9月に行われる7千匹のサンマが振る舞われる「目黒のさんま祭り」も今年はコロナの影響で中止と聞いています。昨年は不漁のため全て冷凍サンマで実施したということです。

 「秋刀魚が出ると按摩が引っ込む」という諺があります。意味は秋になり秋刀魚が出回る頃になると、気候や栄養の補給がよくなって、あんまにかかる人がなくなるという。同義語に「蜜柑が黄色くなると医者が青くなる」「柚子が色づくと医者が青くなる」などがあります。今ではコロナにかかると医者が青くなり、医療崩壊が懸念されるというものです。

 実りの秋だというのに、今年はコロナ禍によって飲食業界も観光業界も、これまで経験したことのない苦境にたたされており、マスクから解放される日が待たれます。

編集長 日比野隆宏

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