調理師日誌

2020年11月号編集後記

 思いがけなく好運が巡ってくることを「棚から牡丹餅」(略して棚ぼた)といいます。今回の首相交代劇で総理の座についた前官房長官菅義偉(すがよしひで)氏の場合にふさわしい諺のようです。

 安倍総理は来年秋の任期を待たずに健康上の理由で辞任し、連続在任日数2,822日の記録を残して首相官邸を去りました。令和2年9月16日、第九十九代目の総理大臣として菅内閣が発足しました。所信表明では理想とする国家像を掲げることもなく、携帯電話料金を下げ、2050年までにCO2をゼロにすると宣言し、国難ともいえるコロナ禍の現状を早期のワクチン対策によって克服するという勇猛果敢な意気込みは感じられました。親の七光りもなく叩き上げの政治家と自称するだけあり、無派閥の強みを発揮して辣腕を振るい前途多難な日本の舵取りをお願いしたい。

 日本料理店などで「老舗」(しにせ)という先祖代々から続いて繁盛しているまたは有名になっている店があります。語源は「仕似せ」(巧みにもの真似をする)からきているようですが、同意語の「のれん(暖簾)」は日除けのために軒先に張る短い布のこと。本来禅家が冬季の隙間風を防ぐために用いた垂れ幕で、江戸時代以降商家が屋号を染め抜いて店の出入り口に下げたのが始まり。一般に部屋の出入り口に仕切りや装飾用に使うものもあります。

 商家では店の格式や信用を表したり経済用語にもなっています。のれんを守る、のれんに傷がつく、のれん分けなどのほか、手応えのない「暖簾に腕押し」があります。

 目下、新型コロナの第二波が欧州で猛威をふるい始めています。年末に向かいせめてインフルエンザ予防接種だけでも早めに受けましょう。

編集長 日比野隆宏

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