調理師日誌

2020年8月号編集後記

 この度のコロナ禍による甚大な被害を受けられた関係者及び賛助会員、関連商社の皆様方には謹んでお見舞い申し上げますとともに、感染症の早期収束と一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

 今年も記録的な降雨量をもたらした梅雨前線の影響で熊本県を中心として洪水や土砂崩れの被害が相次ぎました。名付けて“令和二年七月豪雨”。その後も雨は降り止まず七月の四連休を当て込み、国交省を挙げて国内旅行を奨励し、観光業界と関連企業の起死回生を図る需要喚起事業「Go To トラベルキャンペーン」が前倒しで実施されました。しかしながら直前になって最も経済効果が期待できる東京都のみが当面除外されることになり、出鼻をくじかれ、感染者拡大の現状では時期尚早との声も多く、折角のキャンペーンも軌道に乗れず迷走するばかりです。

 痛しかゆしの地方では旅行客や地元民にいざ感染者が出た場合の医療設備は限界があり、大きな矛盾を抱えています。未だに感染者ゼロを維持している岩手県などはむしろ県外からの観光客や東京からの帰省客さえも歓迎していないようです。

 次なるキャンペーンは農水省の「Go Toイート(食事)」で目的は飲食業界の復興ということで国との契約が調ったお店で食事をする場合の特典として、一つはオンラインによる予約制があり、ポイントが還元されます。もう一つは25%お得なプレミアム付き食事券(給付金)です。当初の予定では八月下旬から来年三月まで利用できるようになっており、少しでも全国の飲食店が潤う契機となってほしいものです。

 いずれにしてもコロナ禍から完璧に逃れるにはワクチンと新薬の開発を待つしかないようです。

編集長 日比野隆宏

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2020年7月号編集後記

 この度の新型ウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言により経済及び営業活動が停止し、甚大な被害を被られた賛助会員、関連商社の皆様方には謹んでお見舞い申し上げますとともに、感染症の早期収束を願い、再開された営業活動による景気回復をお祈り申し上げます。

 新型コロナウイルスの世界の感染者数が6月30日現在でついに1千万人を超えてなお増え続けており、1位 米国の263万人、2位 ブラジルの140万人、3位 ロシアの64万人と桁違いに多く、これに対し日本は1万8,700人と極端に少ないと言うことでWHOでも注目されています。

 日本人の日常生活におけるマスク使用や手洗いの習慣など、根強い衛生観念の普及による影響も考えられるようです。今後の第二波、三派が予測されるという深刻な話題が絶えない中、アフリカ、中国、インドなどで大量のバッタ(サバクトビバック)が発生して最大1千億匹が襲来し、農作物の被害による食糧難は勿論、交通インフラが麻痺して物流が途絶えるなど、あらゆる生活が脅かされていると報じられています。島国の日本に来襲する可能性は低いようですが、地球規模的観測ではコロナ禍の後はバッタ禍が予測されるという見方もあります。人類にとって、皮肉にも目に見えないウイルスと目に余る虫との戦いには終わりがないということかも知れません。

 業界団体の本年度の通常総会は委任状主体の見なし総会が多くなりました。イベントや懇親会も中止や延期となり、9月開催予定の第40回日本料理全国大会(主催=公益社団法人日本全職業調理士協会)も来年に延期となりました。猛暑の折、会員の皆様にはコロナウイルスと熱中症にご注意願います。

編集長 日比野隆宏

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2020年6月号編集後記

 この度の新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言により産業経済全体が停滞し、甚大な被害を被られた賛助会員、関連商社の皆様方には謹んでお見舞い申し上げます。

 国内の感染者数も落ち着きはじめ、5月下旬には緊急事態宣言が全面的に解除され、疲弊しきっていた経済活動も一斉に再開されましたが、第二波、第三波の流行も予想され、依然として先行き不透明な状況にあります。新しい生活様式にもあるように、今後も不要不急の外出を自粛し、マスクを着用して三密(密集・密接・密閉)を避け、自己管理による健康チェックを怠らず職場に臨む必要があります。新型コロナウイルス感染の一日も早い完全収束を願うとともに飲食店経営及び景気の早期回復を期待したいものです。

 東京オリンピック・パラリンピックの延期もさることながら、春から夏にかけてのあらゆるスポーツやイベントが中止または延期になっていましたが、すでに経済効果のないまま無観客での大相撲や競馬が行われています。梅雨時とはいえサッカーやプロ野球もいよいよ開幕となります。当面は無観客で行われるということですが、春の選抜に続き、夏の甲子園(高校野球)も中止になりました。甲子園出場を夢見て猛練習し、県予選に臨もうとしていた球児には唯一の目標を失い、途方に暮れるニュースの場面が印象的でした。

 このほどプロ野球の阪神と甲子園球場が製作し、全国の高校三年生の野球部員(約5万人)に甲子園の土をカプセルに入れたキーホルダーを贈呈するという粋な計らいの情報がありました。今年は負けたチームの選手が泣きながら土を袋詰めする場面がない代わりに閑古鳥が鳴くこと請け合いです。

編集長 日比野隆宏

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2020年5月号編集後記

 青葉若葉の季節、一年で最も過ごしやすい時期の大型連休(飛び石8連休)が、今年に限っては新型コロナウイルス感染症のせいで、前代未開の外出自粛のしばりを受けてステイホームを余儀なくされた方が大半だと思います。本来ならばアウトドアライフを満喫する絶好のシーズンが、4月7日に国の「緊急事態宣言」が行われた時からすでにデパートや飲食店始め客商売の殆どが休業となり、自宅待機を強いられる方はまだしも解雇の憂き目に遭う従業員が続出し、風薫る爽やかな季節とは裏腹な気分に覆われています。出口の見えない不安感が解消される日が待たれます。

 治療薬もワクチンや特効薬がない中、海外で効果を上げているのが陽性で軽症者用の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(錠剤)や人工呼吸器使用の重症者用のエボラ出血熱に使われた「レムデシビル」(点滴)が注目され、いずれも厚労省では治験を兼ねた特例承認として急遽導入することになりました。副作用の心配もありますがその治療効果が大いに期待されるところです。

 端午(5月5日)の節句に因んだ食べ物のちまきは中国伝来のもので粽・茅巻とも書きますが、本来「茅」(ちがや)の葉で巻いたことに由来します。糯米や粳米、葛粉などで作った餅を長円錐形または三角に固めて笹や真菰などの葉で巻き、藺草で縛って蒸したものです。五月の献立によく用いられる関西風の粽ずしは、「永朋」6月号の献立担当者による10頁の前八寸や12頁、14頁、16頁のいずれも前菜の一品で扱われています。粽は柏餅などと共に初夏の季語で風物詩でもあります。古き良き時代の定番料理を季節の移ろいと共に提供できる日が一日も早く訪れることを日々願うばかりです。

編集長 日比野隆宏

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2020年4月号編集後記

 このひと月足らずの間に新型コロナウイルスが猛威をふるい、パンデミック(世界的大流行)の様相を呈して世界中に拡大し、感染者数がついに百万人を突破したという現実に驚愕します。

 日本では4月初めに東京の一日あたりの感染者数が100人を超え、累計では1,000人に迫り、全国で3,500人を超えています。感染拡大警戒地域として密閉・密集・密接の場を避けることと、不要不急の外出を自粛する小池都知事と医療現場が主張するオーバーシュート(爆発的患者急増)の前の政府の「緊急事態宣言」も時間の問題でしょう。

 ヨーロッパではイタリア、スペイン、フランス、ドイツで感染が倍増し、すでに発生源とみられた中国を追い越してなお増え続けています。いずれも医療崩壊の危機にさらされており、ここに来て一ヶ月前は百人程度だった感染者が急速かつ爆発的に増えているのがアメリカです。24万人以上に達し、さすがにトランプ大統領も外出禁止令、在宅勤務、外食の自粛に踏み切り、マスク嫌いの米国人にマスクを奨励し感染対策に乗り出しました。当然ながら世界の産業経済界を直撃しており、新型コロナウイルスのワクチンと治療薬の登場が待たれます。

 リーマン・ショック以来の株価の暴落を見るまでもなく日本の3月までの景況感は7年ぶりのマイナスとなりました。新型コロナ騒ぎによる外国人観光客の急減、旅行や外出の自粛、イベント中止、式典やパーティ、婚礼などのキャンセルが相次ぎ、稼ぎ時の消費低迷が影響して飲食業界にとっては、その後の景況感がさらに悪化の一途を辿っていると思われます。

 注目の東京オリ・パラも一年後に延期となりましたが、朝の来ない夜はないといいますから、ここは我慢のしどころと心得たい

編集長 日比野隆宏

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