調理師日誌

2024年5月号編集後記

2013年(平成25年)に和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されて11年になります。文化遺産はその国の文化を守り、保護していくことを目的としているため、いたずらに伝統的な和食を変えてしまうようなことは出来ません。

登録された理由にあるように、和食の特徴は伝統的な技術や知識、食材選定、食事のマナー、季節の変化への適応などが含まれています。和食文化は古代(奈良・平安時代)より、日本の気候風土と海に囲まれた島国であることから、四季折々の自然の恵みとして野菜と魚介類を中心に調理されてきました。

現代のような肉食の文化は明治以降になりますが、時代の変遷と共に、食生活の欧米化が急速に進み、日本人の主食の原点である米の消費量よりパンの消費量が多くなっています。近況によると世界的な小麦の不作による小麦粉の高騰で米粉が見直されており、また御飯のレトルト食品が非常食どころか文字通り、日常茶飯事の人気になっているようです。

和食の必須食材である海産物に温暖化の影響が出始めています。北海道の羅臼昆布(養殖)が減り、富山湾の寒ブリが激減して北海道で獲れたり、東北・北海道で鮭が激減、四国・九州のタチウオが北限を越えて東北で獲れ、茨城県沖のイセエビも東北で獲れるなど、生息域の変化が著しいようです。

相変わらず各地で地震が絶えない上に、今年の夏も猛暑の予想が出ており、異常気象が
異常でなくなる日も来るのではと不安が募ります。また、梅雨時になれば食中毒も多くなりますので、安全安心の食生活のためにも衛生管理の徹底が求められます。

編集長 野澤 武

This entry was posted in 編集後記 and tagged , , . Bookmark the permalink.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です