調理師日誌

2020年3月号編集後記

 一寸先は闇。令和初の正月を安泰に過ごし、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの夏に向かって思いを馳せようとしている矢先に、「新型コロナウイルス感染症」の騒動が起こってしまいました。

 全国的な感染拡大を恐れて春休みを前に小中高校の突然の休校で、終業式や卒業式も中止となり、また業界のあらゆるイベントが急遽延期や中止を余儀なくされました。ホテル・旅館・会館等は予約の取消で窮地を招いており、飲食業界にとっては死活問題となりそうです。一般企業も社員の感染を防止するため、在宅勤務や自宅待機となるなど関連産業を巻き込んだ一大混乱に陥っています。

 外国人の入国も規制され、観光地等の産業も急激に停滞し、春欄漫の季節に花見の宴会もご法度、プロ野球オープン戦や大相撲春場所は観客なしの前代未聞の興行となり、選抜高校野球は無観客の実施案も消え、中止となりました。

 この世界的な状況では最大の関心事である東京オリンピック・パラリンピックも延期のシナリオが浮上しています。このひと月で瞬く間に新型コロナウイルスの感染拡大が進み、WHO(世界保健機関)も非常事態宣言を告げ、2009年の新型インフルエンザ以来のパンデミック(世界的大流行)と認めています。中国、香港、マカオ、韓国、イタリア、イランそして日本までが感染危険国に上げられています。一日も早く終息することを願うばかりです。

編集長 日比野隆宏

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2020年2月号編集後記

 暦の上では立春の日から春となり、新たな1年が始まります。旧暦の正月節にあたります。

 この時期、四千年以上の歴史がある中国では「春節」(今年は1月25日でその前日から1月30日までの7日間)という中国全土が1年で最も盛り上がる大型連休があり、故郷に帰省する人を主体に国内外への旅行をする人が多く、約30億人が移動すると言われています。

 今年はまさにこの春節のさなかに、中国湖北省武漢市を発生源としてかつての「SARS」を凌ぐ「新型コロナウイルス」による新型肺炎が猛威をふるい、人から人への感染が人的交流を通して世界中に拡大しています。

 とりわけ日本では水際作戦を掲げるも横浜港に停泊中の大型クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号(乗客・乗員3,700人)の感染者を通して大変な騒ぎが巻き起こっています。感染を防ぐには患者との接触を避ける以外に方法がなく、中国ではマスクの着用が義務づけられ、日本では予防用のマスクの品切れが相次ぎ、社会現象となっています。

 この新型肺炎騒ぎで最も影響を受けているのが中国人観光客(外国人観光客最多)による全面キャンセルのホテル・旅館で、すでに閑古鳥が鳴いているようです。一方で今冬の異常気象に悲鳴を上げているのが全く雪のないスキー場です。冬の気象史上初といわれ、7月に迫っている東京オリンピックが異常高温や台風などの災難がないことを願うばかりです。

編集長 日比野隆宏

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2020年1月号編集後記

謹賀新年

 本年も金臭皆棟の変わらぬご愛顧とご協カのほど
 何卒よろしくお願い申し上げます
 ニ〇二〇年 元旦

編集部一同

 新元号「令和」になって初の正月を迎えました。

 永朋舎にとりましては2年前にビルの改築工事で移転しておりましたが、昨年暮れの新ビル完成に伴い装いも新たな元のビルの一室に戻ってスタートを切ることになりました。

 新年初顔合わせは令和2年1月14日に行われます。役員も昨年秋の改選によって一新しましたので、30年の節目を目標として会長の方針と指導の下、名実ともに永朋舎の発展に向けた一歩踏み出すことになります。永朋舎の綱領にあるように日本料理界の新しい伝統を築き、永く後世に伝えることを目的とし、経営者と共に繁栄をを分かち合う調理師を目指したいものです。

 2020東京オリンピック・パラリンピックも追ってまいりました。世界の食文化に範たる日本料理の確立に貢献する絶好の機会でもあります。難点は真夏の祭典となるため、保健衛生上も食材の管理や扱いが大変なことです。一年の計は元旦にありと申します。会員皆様の無病息災とご活躍をお祈り致します。

編集長 日比野隆宏

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2019年12月号編集後記

 波乱に満ちた本年も暮れようとしています。5月には平成から令和へと元号が変わり、明治・大正・昭和の世代がさらに遠くなる一方で、少子高齢化の波は高まるばかりです。100歳以上のお年寄りが7万人を越えて、世界一の高齢者として116歳の福岡県在住田中力子(かね)さんがギネスに認定されています。

 今年の出来事を象徴する流行語大賞も「ONE TEAM」(ワンチーム)に決まりました。ラグビーのワールドカップ日本大会で初の8強入りを果たした日本代表チームのスローガンでした。高齢者の「免許返納」や「軽減税率」、「闇営業」、「令和」、タピオカブームの「タピる」、新星渋野日向子の「スマイリングシンデレラしぶこ」、国土交通省の「計画運休」などもノミネートされました。

 目下、〆切り後に連日下半期の国会を紛糾させ、メディアを賑わしているのが安倍首相の「桜を見る会」の招待客問題です。招待客名簿(データ)の保存は1年以内とされているとはいえ、連休明けに廃棄するのはむしろ来年のためにならないのではと思うのですが。

 新国立競技場も完成し、来年7月24日~8月9日に開催される東京2020オリンピック・パラリンピックもカウントダウンとなりましたが、五輪のラストシーン(未定)を飾るマラソンも高温注意報が予想される東京の気温を考慮し、急遽、北海道の札幌会場に変更となりました。世界中の選手や関係者、観客が大挙して日本を訪れるわけですが、日本食の需要は果たしていかばかりかと思う次第です。

 途中から編集長の大役を担うこととなりましたが、来年も宜しくご指導願います。

編集長 日比野隆宏

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2019年11月号編集後記

 前号のこの欄で房総を襲った台風15号の大災害にふれたばかりなのに、その後毎週のように巨大台風が発生し、追い打ちをかけて19号と21号の特殊な雨台風にやられ、長野県の千曲川や福島県の阿武隈川、茨城県の那珂川等全国71の河川支流が氾濫、または堤防が決壊し、広域の浸水被害に見舞われました。被害を受けられた地域の皆様には改めてお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り致します。

 このほど日本人で27人目のノーベル賞が決定し、小型で高性能のリチウムイオン電池を開発した吉野彰(あきら)旭化成名誉フェローが化学賞を米国の教授と共同受賞されました。リチウムイオン電池はすでにスマートフォン、パソコンをはじめ電気自動車や航空機、国際宇宙ステーションまで広く利用されており、今後は太陽光など再生可能エネルギーを蓄えて、化石燃料に頼らない社会の実現に必要不可欠のものとされています。授L賞式は12月10日にスウェーデンのストックホルムで行われます。

 5月1日の譲位による改元で平成から令和となり、天皇陛下に即位されたことを世界に宣言するための「即位礼正殿の儀」が10月2日、各界の代表者と191ヵ国の代表者ら内外から2千人の参列者が集う中、皇居正殿・松の間にて行われました。天皇陛下は高御座(たかみくら)に立ち、国民の幸せと世界平和を願い、日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすとお言葉を述べられました。

 また夜の饗宴の儀は各国の王族や大統領を招き、和食中心の献立(前菜・酢の物・焼物・温物・揚げ物・加薬飯・吸物)で催されたことが印象的でした。

編集長 日比野隆宏

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