調理師日誌

2019年4月号編集後記

いよいよ4月30日で天皇が退位され、5月1日には皇太子殿下が即位されます。

これにともない「平成」の元号が新元号に変わります。4月1日午前11時30分からの菅官房長官の発表で新元号は「令和」にきまりました。「令和」の出典は中国の古典ではなく初の国書によるもので日本最古の歌集「万葉集」巻五の梅花の歌三十二首の序文にある漢文の文字の引用でした。「初春令月 気淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香」の中の令と和でした。

現代語訳(中西進著)によると「時あたかも新春の好き月、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装う白粉のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかおりをただよわせている。」(朝日新聞より)

一般に予想されていた元号とはかけ離れたもので「令和」の令からは命令や法令のような冷たくて固い印象を受ける人も多いのではないでしょうか。30年続いたこれまでの平成のような平易なやさしさは感じられないのが第一印象でしたが、使い慣れてくれば印象も変わることでしょう。ともかく世界中が数字だけの西暦で通用する中、日本だけで通用する大化(孝徳天皇朝の年号で西暦645年)に始まる元号にはそれなりの歴史的な文化があり、日本では西暦と併用する重要な意味があると思います。一方では新元号に因んだものが一斉に売り出され、驚異的な商業ベースに利用されているのも事実です。

天皇の即位による「十連休」となった今年のゴールデンウイーク。果たしてどれほどの経済効果をもたらすのでしょうか。国内ならいざ知らず海外旅行に取られるようでは逆効果になりますが。悲喜こもごもですね。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged , , | Leave a comment

2019年3月号編集後記

 訪日観光客3,000千万人を越えた昨年の勢いを継続し、日本政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される来年2020年には4,000万人達成を目論んでいるという。外国人観光客の大半はアジア圏の中国、韓国、台湾、香港で2,300万人を占めており、中でも中国人が830万人を超えて最も多いとされています。

 これらの観光客の激増が飲食業界に与える影響は大きいといわれますが、飲食の多様化が進む中でとりわけ日本料理業界への絶大な波及効果を期待するには及ばないようです。和食が世界無形文化遺産に登録されて料理店の景気が目に見えて改善されたこともないようで、兎角この世は捕らぬ狸の皮算用になりがちではないでしょうか。

 永朋舎の今年の懇親会は2月17日に例年とは趣向を代えて「新春の集い及び受賞者祝賀会」と題し、前年度の表彰受賞者の栄誉を称える和やかな祝賀会となりました。職人として料理人としての到達点すなわち国の卓越した技能者「現代の名工」を受賞された松本昇氏、その名工の功績が認められ、さらに他の模範となるその道一筋に業務に精励された高橋良明氏は天皇陛下より春の黄綬褒章を受章されました。春秋の叙勲同様、褒章も春と秋に受章の栄に浴することができます。これらの栄えある受章にあやかり日々精進努力すると共に、対外的な作品発表や講習会、食育推進などの指導的な活動が大いに評価されるといわれています。

 もう桜花欄漫の季節は目前です。お花見シーズンには春の味覚を存分に提供し、日本料理の魅力を国の内外に発信しましょう。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged , , , | Leave a comment

2019年2月号編集後記

 女子プロテニス界の新星大坂なおみ選手が昨年の全米オープンに続き、新年早々の全豪オープンを制し、グランドスラム二大会連続優勝を飾り、世界ランキング1位という快挙を成し遂げました。21歳の若さでまさにテニス界の女王となった訳ですが、日米の二重国籍を持つなおみ選手も来年夏の東京オリンピックに日本代表で出場したいと発言しており、超高額の税金を覚悟して日本国籍を決意する必要があるといいます。

 ところでなおみ選手のラケットやシューズ、腕時計などにあやかる人気商品は品切れし、極めつきは寄贈されたニッサンGTRも。相変わらず食べたいものはカツ丼とか。男子の錦織選手の活躍も期待されます。

 立春とは二十四節気の一つで、明治6年(1873年)に改暦されるまでは陰暦正月節にあたり、陽暦(新暦)では2月4日頃で暦の上ではこの日から春で一年が始まります。地球上から見た太陽が一周して戻ってくる一年を四季毎に六等分したものを二十四節気と称し、一節気は約十五日間になります。

 2月も下旬になれば冬型の気圧配置もくずれて移動性高気圧が東風(こち)をもたらすようになります。春めく和歌に「東風吹かばにおひおこせよ梅の花主なしとて春を忘るな」(菅原道真)があります。春隣の季語とともに春はもうすぐです。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged , , , , | Leave a comment

2019年1月号編集後記

 平成最後の正月となりましたが、永朋舎にとりましては25周年記念もクリアし、新たなる5年後に向かって歩み始める年となりました。干支も猪年で猪突猛進の諺がありますが、社会情勢も大きく変わろうとしており猛進するわけには行かないようです。国内では5月には平成から新元号にかわり、秋には消費増税も予定されています。国外では日韓間題、米中の貿易戦争、欧州では英国がEU離脱の時期を迎えて戦々恐々としており、地球規模で温暖化の影響による異常気象が続いています。

 年頭にあたり、我が永朋舎には澄み切った青空がふさわしく、またその可能性に満ちた一年になるよう会員皆様の決意と精進努力を願いたいものです。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged | Leave a comment

2018年12月号編集後記

 木枯らし一号が吹かないまま師走を迎えることになりそうです。国の内外で出来事の多い一年でしたが永朋舎にとりましては年頭に掲げた目標の「創立二十五周年記念式典並びに祝賀会」が盛況裡に達成されたことで、全会員ともども安堵感を覚え、また編集部としては永朋記念号の準備期間もあってようやく肩の荷が下りたような気がしております。来年からは五年後の三十周年に向けた歩みをはじめることになります。

 「継続は力なり」と申しますが何事にもはじめと終わりがあります。人生はまさにその縮図ですが、終わりがあってならないのが組織であり、会社であり、大きくは国家であります。それさえも紆余曲折の末、競合したり分裂したり、解散することもあります。日産が危機に瀕したときに救済してくれたのがフランスのルノーで、その経営トップがカルロス・ゴーンでした。

 いま巨額報酬を有価証券報告書に記載しなかったとして逮捕されています。日産立て直しのために英断を振るったことと言えば容赦のないリストラでした。これを契機にⅤ字回帰への一途を辿り、近年は三菱も参入し最高経営責任者として我が物顔で君臨していました。ゴーン・ショックにもめげず日産の国内新車販売は伸びているそうです。

 まもなく平成最後の正月を迎えます。御節用品の買い出しに築地を利用してきた一般客には場外市場が残っているので不足はないようです。東京五輪後には豊洲市場に観光スポットとして「先客万来施設」が着工されるという。外国人には銀座・築地の足場の良さから人気は根強いとか。来年もどうぞよろしく。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged , , , | Leave a comment