調理師日誌

2018年12月号編集後記

 木枯らし一号が吹かないまま師走を迎えることになりそうです。国の内外で出来事の多い一年でしたが永朋舎にとりましては年頭に掲げた目標の「創立二十五周年記念式典並びに祝賀会」が盛況裡に達成されたことで、全会員ともども安堵感を覚え、また編集部としては永朋記念号の準備期間もあってようやく肩の荷が下りたような気がしております。来年からは五年後の三十周年に向けた歩みをはじめることになります。

 「継続は力なり」と申しますが何事にもはじめと終わりがあります。人生はまさにその縮図ですが、終わりがあってならないのが組織であり、会社であり、大きくは国家であります。それさえも紆余曲折の末、競合したり分裂したり、解散することもあります。日産が危機に瀕したときに救済してくれたのがフランスのルノーで、その経営トップがカルロス・ゴーンでした。

 いま巨額報酬を有価証券報告書に記載しなかったとして逮捕されています。日産立て直しのために英断を振るったことと言えば容赦のないリストラでした。これを契機にⅤ字回帰への一途を辿り、近年は三菱も参入し最高経営責任者として我が物顔で君臨していました。ゴーン・ショックにもめげず日産の国内新車販売は伸びているそうです。

 まもなく平成最後の正月を迎えます。御節用品の買い出しに築地を利用してきた一般客には場外市場が残っているので不足はないようです。東京五輪後には豊洲市場に観光スポットとして「先客万来施設」が着工されるという。外国人には銀座・築地の足場の良さから人気は根強いとか。来年もどうぞよろしく。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged , , , | Leave a comment

2018年11月号編集後記

 創立二十五周年記念式典並びに祝賀会が皆様方のご支援ご協力により滞りなく盛況裡に開催することができました。菊香る良き日に帝国ホテル東京の孔雀の間に於いて全国各地より関係者の皆様にご来駕の栄を賜り、この場をお借りし改めて心から厚く御礼申し上げます。

 今後におきましては、業界の発展を願い永朋舎のさらなる飛躍を期して精進努力してまいりますので変わらぬご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

 本年も残すところ2ヶ月を切り、幕末の志士が活躍するNHK大河ドラマ「西郷どん」も明治h維新の新政府の下、熾烈な争いを繰り広げており盟友大久保利通との激突を迎えようとしています。

 西郷どんこと西郷隆盛は薩摩藩の下級武士の子として生まれ、日本の英雄100人の一人として崇められています。永山久夫著「歴史は食で作られる」によると、六尺豊かな大男(身長180cm、体重120kg)と伝えられており、太い眉毛に黒ダイヤのようなキラキラ輝く大きな目玉があり、その日で一度見つめられると誰しも忘れることができなかったという。また巨漢に似合わず酒には弱く好物はカステラと伝えられているように大の甘党で、料理では甘く味付けされた豚骨料理や鰻の蒲焼を好んで食し三人前はペロリと平らげたという。

 西郷の優れた資質は枝葉末節にこだわらず物事の本質をずばりと掴み取る点にある。茫洋としてつかみどころがないように見えるのは、胆が据わっているためで生来の特性であり、好物の黒砂糖に含まれるカルシウムが図太さを形成したのではないだろうか。

 カルシウムは精神安定効果の高いミネラルで、豚肉や鰻には頭の回転をよくするビタミンB1が多い。鰻には記憶力、集中力、創造性、先見力を高めるDHAと血の巡りを良くするビタミンEが含まれると述べています。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged , , , , | Leave a comment

2018年10月創立二十五周年記念号編集後記

 『永朋』創立二十五周年記念号は、名誉顧問の堺屋太一先生はじめ特別賛助店、業界団体、特別客員の皆様より寄せられましたご丁重なる「祝辞」と「永朋ニュースで辿る二十五年間の歩み」をダイジェストし、時系列による永朋舎の活動の歴史を記録しました。

 またトップを飾るにふさわしい口絵の料理写真は、「画竜点晴」をテーマにした卓袱料理と卓越した五人のメンバーによる「五節供」の会席料理を特集しました。

 五節供と伝承料理としての日本料理は切っても切れない関係にあります。日本の食文化を代表する日本料理は今やユネスコの無形文化遺産に登録された日本食として、世界中に普及しつつあります。

 平成六年の創刊号から数えて今月で293号となりました。このように一度も欠けることなく継続して発行できましたのもひとえに会員は元より、賛助会員並びに友好商社の皆様のご支援ご協力の賜物と深く感謝申し上げます。今後におきましてもインターネット全盛の時代とはいえ、会員相互のコミュニケーションを図り、切磋琢磨し、技術技能の向上、献立作成、情報公開等を通して、人格の形成等に役立つ内容を心がけたいと思います。

 錦秋の訪れとともに今年も残すところに2ヵ月あまりとなりました。夏から秋にかけて日本列島は西の集中豪雨や北海道地震、縦断する猛烈台風に悩まされました。風評被害の観光地を含む外食産業、農業にとって長引く悪天候は死活問題です。この度の災害により避難生活を余儀なくされている被災地の皆さん間には一日も早い復旧・復興を願ってやみません。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged , , , | Leave a comment

2018年9月号編集後記

 「天高く馬肥ゆる秋」は空が高く感じられるほどに澄みわたり、馬も肥えるような収穫の秋。秋の季節のすばらしさを言う(広辞苑)とありますが、中国の故事では「秋高塞馬肥=秋高く馬肥ゆ」として「隣国匈奴(蒙古民族)が意気上がり、国境から侵入する季節なので警戒すべき兆候である」という意味合いが強いようです。

 防災月間(9月)ともなれば「天災は忘れたころにやってくる」という教訓がよく使われます。寺田寅彦(明治の物理学者)が残した言葉とされていますが、現代のように異常高温や台風、ゲリラ豪雨、地震等が頻繁に襲ってくると「忘れる間もなくやってくる」と言い換えたいくらいです。

 どのような被災地でも最も重宝がられるのがボランティア活動のようですが、残りの人生を奉仕活動に賭けるスーパーボランティア尾畠春夫さんがこの夏一躍脚光を浴びたのは、山口県周防大島町で起きた3日間行方不明だった2才の男児を数百人の捜索隊をよそに、たった20分で発見救助するという快挙によるものでした。感謝感激の一家にとって精一杯の御礼(食事や風呂)も丁重に辞退し、颯爽と立ち去る姿は武士道にも似て感動的でした。

 目下、東京の夜の観光で外国人にも人気の屋形船の需要が急増しているという。本会賛助会員でもある晴海屋では6船保有し、中でも定員144名、日本最大級の「白鷺」は圧巻です。2mの天井は背の高い外国人を想定し、接客用語も英語、中国語、韓国語に対応しているそうです。

 来月21日はいよいよ創立二十五周年記念式典となりますが、「永朋」も記念号の内容となります。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged , , , , , | Leave a comment

2018年8月号編集後記

残暑お見舞い申し上げます

平成三十年 立秋
編集部一同

 昨年夏同様に異常気象が日本列島を覆っています。とりわけ7月23日に最高気温が埼玉県熊谷市によって41.1℃に更新され、昨年記録した高知県四万十市の40℃を塗り替えました。

体温でさえ40℃を越える高熱は危険であるのに体感温度はゆうに43~5℃。直射日光下の車の屋根は触れない位で車中は60℃を越えています。熱中症の救急搬送患者数は昨年同時期に比べて3倍にもふえているとか。家の中での熱中症もふえており、「心頭を滅却すれば火もまた涼し」などと我慢している場合ではありません。

避暑地の軽井沢では異変があり、避暑に訪れた客がすぐ引き返す傾向が見られ、これまではクーラーも不要だった快適な土地で電機屋さんがエアコンの取り付け作業に追われているといいます。

土用丑の日に鰻屋の暖簾をくぐれるゆとり世代はともかく、一般庶民が涼を求めて昔ながらのかき水屋やビヤガーデンで暑気払いをする光景には風情があり、お盆休みや夏休みに海、山、古里などへの墓参りも情緒があって良いものです。夜空を彩る花火大会や軒先での線香花火、浴衣姿の盆踊り、縁日の金魚掬いも親子連れの似合う夏の風物詩です。

編集長 富田正藤

Posted in 編集後記 | Tagged , , , | Leave a comment