調理師日誌

2019年3月号編集後記

 訪日観光客3,000千万人を越えた昨年の勢いを継続し、日本政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される来年2020年には4,000万人達成を目論んでいるという。外国人観光客の大半はアジア圏の中国、韓国、台湾、香港で2,300万人を占めており、中でも中国人が830万人を超えて最も多いとされています。

 これらの観光客の激増が飲食業界に与える影響は大きいといわれますが、飲食の多様化が進む中でとりわけ日本料理業界への絶大な波及効果を期待するには及ばないようです。和食が世界無形文化遺産に登録されて料理店の景気が目に見えて改善されたこともないようで、兎角この世は捕らぬ狸の皮算用になりがちではないでしょうか。

 永朋舎の今年の懇親会は2月17日に例年とは趣向を代えて「新春の集い及び受賞者祝賀会」と題し、前年度の表彰受賞者の栄誉を称える和やかな祝賀会となりました。職人として料理人としての到達点すなわち国の卓越した技能者「現代の名工」を受賞された松本昇氏、その名工の功績が認められ、さらに他の模範となるその道一筋に業務に精励された高橋良明氏は天皇陛下より春の黄綬褒章を受章されました。春秋の叙勲同様、褒章も春と秋に受章の栄に浴することができます。これらの栄えある受章にあやかり日々精進努力すると共に、対外的な作品発表や講習会、食育推進などの指導的な活動が大いに評価されるといわれています。

 もう桜花欄漫の季節は目前です。お花見シーズンには春の味覚を存分に提供し、日本料理の魅力を国の内外に発信しましょう。

編集長 富田正藤

This entry was posted in 編集後記 and tagged , , , . Bookmark the permalink.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です