調理師日誌

2023年6月号編集後記

梅雨時ともなれば高温多湿の気候が続き、食中毒のシーズンとも言われています。集団食中毒のニュースも後を絶ちませんが、調理場においては食材も傷みやすくなるので食中毒の原因にもなります。

食中毒とは食品に起因する腹痛や下痢、嘔吐、発熱などの総称。原因によって症状は様々
で、主な原因はサルモネラ菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌等で、飲食により摂取した細菌が腸管内で増殖し、発症する場合と、食べ物の中で細菌が増殖してしまい、その食べ物を食することで発症する場合があります。一般に数日から2週間程度で回復します。

食中毒菌の種類は、細菌性、ウイルス性、自然毒(植物性・動物性)、化学物質性、寄生虫などで、中でも大多数を占めるのが細菌(バクテリア)とウイルスといわれています。特になまもの以外のもので、調理後に食品内で食中毒を起こすのも、細菌が原因で黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(下痢・嘔吐型)等が知られています。冬場に多いノロウイルスはヒトの腸管のみで増加し、感染を拡大するとされています。

食中毒を予防するには一般に、手をきれいに洗うのが大原則で、調理を始める前、生の肉や魚、卵などを取り扱う前後、調理の途中で手洗いに行ったり、鼻をかんだりした後、動物に触れた後、食卓につく前、残った食品を扱う前等が注意事項に上げられています。徹底した衛生管理が求められる調理場では、生の肉や魚を切った庖丁や俎板、調理器具等の殺菌・消毒が予防のための必須条件です。調理を与る者として十分気をつけましょう。

梅雨入り前の異常気象や台風の影響で、梅雨前線が刺激されてすでに線状降水帯が発生し今年も各地で豪雨による被害が出ています。被災された皆様にお見舞い申し上げます。

編集長 日比野隆宏

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