調理師日誌

2022年7月号編集後記

今年は関東の梅雨入りが6月6日で、同27日には梅雨明けするという2018年の記録に並ぶ3週間の短い期間でした。これが西日本では6月14日の梅雨入りで、2週間後の28日には明けるという史上最速の記録も意外でした。もっとも梅雨時なのに全く雨の降らない”空梅雨”もあるわけですが、もともと梅雨がないと言われる北海道に豪雨が降り続いたのも今年の梅雨の異変でした。また、梅雨明けと同時に6月に35℃を超える猛暑日が続いて、熱中症患者が急増したのも当然で、夏本番を迎えるこれからの高温が大いに危惧されます。

昭和48年版の『365日たべもの雑学』の7月の項目を拾うと、1日枝豆、2日カジキ、3日観賞用だったトマト、4日ビヤホール、5日ビールの泡、6日バフンが最高級品、7日ブランデーの星のマーク、8日ニンジン、9日衛生的糖果のガム、10日海のパイナップル、11日赤だし、12日福神漬、13日そうめんと冷や麦、14日お坊さんが作ったシャンペン、15日どぜう汁と柳川鍋、16日駅弁ものがたり、17日アイスクリーム、18日冷や奴、19日みつ豆、20日宇宙食、21日土用丑の日、22日初のアイスクリーム店、23日奈良漬、24日オムレツの語源、25日氷水、26日スイカ、27日車エビ、28日裂き三年、串打ち八年、焼き一生、29日アクセサリー代りのフランスパン、30日ハモ、31日東京風と関西風の蒲焼とありました。

約半世紀前の7月の食の話題ではありますが、日進月歩変化する世界にあって、和・洋・中を問わず変わらないものは食文化であり、日本の歴史と風土に根ざした日本料理そのものであるといえます。料理人として伝統の食文化の一端を担う私たちの使命でもあると思います。

涼を呼ぶ夏の食材で七夕に因んだものは素麺ですが、江戸時代には七夕素麺と言われ、マラリア病などの疫病除けに食べられたと言われています。一方では土用丑の日夏痩せに良いのはウナギの蒲焼が最高のようです。コロナにも猛暑にも負けないで夏を乗り切りましょう。

編集長 日比野隆宏

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