調理師日誌

2017年6月号編集後記

 六月の雨は梅雨前線が発達し、停滞することでひとしきり雨をもたらすことになります。この時期の雨量によって稲や作物が生育し、やがて実り多き物になるわけです。一方では果樹にも影響を及ぼし、青梅を実らせ黄熟させることになります。このように梅が熟す頃の雨なので梅雨と書き、湿気が多くて徽(かび)が生えるところから微雨とも書き、いずれもバイウまたはツユと読みます。一年で最も鬱陶しい気候となり、ジメジメとして健康上は誠に不快な季節となります。日本では昔からこの時期に採取した梅を用いて保存食の梅干しを作ります。熟し切らない青梅を数日間塩漬けにしたあと、日に干して赤紫蘇を加えて漬け直します。さらにむしろや戸板に並べて天日に晒し、三日三晩、昼には干し、夜には梅酢に漬け戻すことを繰り返すと程良くしわの寄った梅干しが出来上がります。好みによっては天日に干さないでカリカリ梅で食べることもできます。

 梅干しにはその強烈な酸味から殺菌効果や保存効果が認められ、弁当の白い御飯に梅干しを一個詰めて日の丸弁当と称し親しまれてきました。近年では疲労回復から生活習慣病、特にガンの予防にも効果があるといわれ、胃がんの原因とされているピロリ菌に対しても一日二個程度の摂取で抑制することが出来るといわれています。梅干しに含まれる成分が糖尿病を促進する酵素αグルコシダーゼを抑制することも証明されており、最近ではバリニンという成分が脂肪燃焼効果があることもわかりました。どんなサプリメントよりもダイエット効果、夏パテ防止効果がある健康食品であることを再認識し、毎日一個食べるようにしましょう。

編集長 富田正藤

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