調理師日誌

2017年5月号編集後記

 今や国民の80%が非喫煙者といわれますが、新幹線全面禁煙などで世の愛煙家には肩身の狭い時代になっており、厚労省の方針によると受動喫煙防止策を罰則付きで強化するという健康増進法改正案が発表されました。学校や病院の敷地内、官公庁や大学、運動施設などは屋内禁煙、バスやタクシー、飛行機などは車内(機内)禁煙とし、いずれも喫煙専用室の設置は認めないという厳しいもので、一部公共の福祉に反しない限りに於いては尊重されるとして、プライベート空間は対象外であり、限定したもので、飲食店のレストランや居酒屋またホテル・旅館も喫煙専用室が認められるようになっています。

 いずれにしても、飲食店で4割、職場や遊技場で3割の非喫煙者が受動喫煙の被害にあっており、受動喫煙がなければ乳幼児を含め年間1万5千人の命が助かっているという統計がでているようです。たばこ(煙草)は1492年コロンブスがアメリカ大陸を発見した時、インディアンが栽培していたものを医薬品としてヨーロッパに持ち込んだのが始まりで、17世紀初頭には全ヨーロッパから東洋、日本にまで普及したと伝えられています。

 煙幕を張るわけではありませんが、すでに5世紀頃、メキシコのマヤ文明では太陽を崇拝し、僧侶がパイプでたばこの煙をくゆらし、祭壇に向けて吐き、その煙や葉の汁で病気を治しており、喫煙以外に嗅ぎたばこ、噛みたばこ、葉巻たばこも利用されていたといいます。また中国では16世紀にマラリアが流行した時、喫煙していた兵士だけが無事であったため特効薬とされて急速に広まったともいわれています。人類とたばこの関係は肺がんとの因果関係以前に悠久の歴史と文化がありました。

編集長 富田正藤

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