調理師日誌

2021年2月号編集後記

 124年ぶりという2月3日の立春も間近に控え、近年では前日の節分に昔ながらの「福は内、鬼は外」を唱えて炒り豆をまく習慣よりも、海鮮などの具材を海苔で巻いた太巻きをその年の恵方(今年は南南東)に向かってかぶりつく「恵方巻き」の習慣が幅をきかせるようになりました。

 商魂たくましいスーパーやコンビニなどで「期間限定」にもかかわらず、作りすぎて大量に売れ残るという大量廃棄の食品ロス(フードロス)が社会問題となりました。数年前に農林水産省の行政指導があり、「貴重な食糧資源の有効活用」のため業界団体が大半を予約制に切り替えるようになりました。予約を募るチラシには「福を呼ぶ笑福巻き」と称し、定番の和風巻きは出汁を味わう具沢山の恵方巻き、北海道や三陸産のマグロ、ホタテ、エビ、サーモン等を用いた色とりどりの海鮮太巻きなど、切り口を見せた折り込み広告が満載です。

 年も改まり、コロナ禍でなかったらさぞ希望に満ちた一年を予測できたはずですが、新型コロナは世界中に1億人を超える感染者を出し、依然として衰えを見せません。国内のワクチン接種の実施計画が進められる中、あざ笑うように感染力の強いコロナ変異種が出現し、新たな市中感染の危険性をはらんでいます。緊急事態宣言の延長論が真実味を帯びるこの頃、自衛手段として二重マスクの着用や手洗い消毒、密を避ける行動でなんとしても感染から身を守るようにしたいものです。

編集長 日比野隆宏

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