調理師日誌

2017年2月号編集後記

 昨年8月の幕開けから続いている東京都の小池劇場“豊洲編”も一向に幕が下りる気配がありません。地下水調査で発がん性物質ベンゼンの数値が79倍も検出され、その上年間収支で100億円の赤字が出るという試算まで公表されては「築地女将さん会」も黙ってはおりません。何よりも食の安全性を優先する都民ファーストの都知事を援護し、移転中止の署名活動も始まるようです。

 気象条件が温暖化も含めて地球規模で変化し、生物の生態系を脅かしているように思えます。とりわけ海水温の影響による漁業では太平洋のスルメイカの不漁が深刻です。イカ飯やイカ素麺で知られる北海道では新幹線の開通で観光客が激増し、年間200万人以上訪れる函館名物の「朝市」人気も上々のはずですが、今年はここ十年で最も少ない不漁のせいで、最大の呼び物である水槽のスルメイカを釣り上げ、その場で味わう「烏賊の釣堀」が開店休業に追いやられているそうです。イカの水揚げ日本一といわれる青森県八戸港も前年比30%以上も激減し、地元の小型イカ釣り船で通常は20杯入りで300箱揚げるのが、今年は10箱止まりと嘆いているという。スルメイカが高騰し、塩辛も店頭に並ぶ数が減り、値段も高くなっています。

 イカサマではありませんが、太平洋の向こう側では時ならぬトランプ旋風が吹き荒れています。大統領令を連発し、何もかもツイッターで攻撃するという新種のエース登場で、米国のみならず世界が変わるような雲行きです。

編集長 富田正藤

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