調理師日誌

2017年3月号編集後記

 春は名のみの風の寒さや 谷の鶯 歌は思えど 時にあらずと 声も立てず-と歌われた早春賦(大正時代に作られた)という唱歌も懐メロとなり、全く耳にすることがなくなりました。もはや明治・大正どころか昭和も遠くなりました。すでに平成になって30年を迎えようとしていますが、昨年来天皇陛下のお気持ちとして元気なうちに退位し、現皇太子に継承したいとの意思を表明されています。皇室典範では崩御以外認めていない「生前退位」のことが国会で議論されており、一代限りとするのか制度化するのかで意見が割れているようです。いずれにしてもこれが実施されると元号が平成からまた新しい名称に変わります。江戸時代後期以降、およそ二百年間天皇による譲位は行われておりませんが、昭和54年に制定された元号法では、「元号は皇位の継承があった場合に限り改める」とされており、陛下は東京五輪を前に数年内の譲位を望まれているといわれています。

 日本人の4人に1人が65歳以上の高齢化社会となり、厚労省の発表によれば2015年の平均寿命が過去最高を更新しました。5年に1度の国勢調査に合わせた調査で男性は80.75歳、女性は86.99歳となり、主要7ヵ国(G7)の中では男女とも最も高いという。138年前の1891年に行われた調査では男性が42.8歳、女性が44.3歳と記録されており、驚異的な伸びといえます。時代や社会的背景、栄養、食糧事情、医学の進歩、生活環境などの総合的な変化による改善の結果でもあるようです。食に従事する私達も常に責任の一端を担っているわけです。

編集長 富田正藤

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