調理師日誌

2025年4月号編集後記

三日ほど寒い日が続いた後に四日ほど暖かい日が続くことを三寒四温といいます。冬の季語ですが、これを繰り返す内に春が訪れます。古い句に「冴え返り冴え返りつつ春なかば」(泊雲)というのがあります。今年の2月~3月の陽気は気圧の変化で1日で10℃も気温の違いを生じる寒暖差がありました。

お彼岸の中日は春分の日です。暑さ寒さも彼岸までの諺通り、春暖の候となり、すでに桜前線も北上し、気象予報では今年の東京の開花予想は25日頃とされています。やがて桜花爛漫の春がきて、ともすれば桜満開の時季でも花冷えのする年もあり、震えながら夜桜見物になることも。

また、この季節最も厄介なのは花粉症でしょう。スギやビノキの花粉が春風にあおられて飛散し、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙目などのアレルギー症状に悩まされます。今や日本人の4人に1人といわれる国民病です。アレジオン等の抗ヒスタミン剤の市販薬が薬局の店頭に並んでいます。

まさに”対岸の火事”と思えた米国ロサンゼルス近郊の1月から2月にかけて発生した山火事は住宅地を巻き込む大火災となりました。送電設備からの出火と思われ一万棟とも言われる建物の損壊があり、10万人以上が避難、20兆円を超える損害を被ったと報道されたばかりでしたが、その矢先の3月初めには岩手県大船渡市で山火事が発生し、見る見るうちに市の9%にあたる面積が消失。4,600人が避難して鎮火するのに12日間も要する大規模山林火災でした。

山火事が多発する要因が近年の気候変動の影響が災いしているとはいえ、自然発火ではなく、大船渡の場合も落ち葉を燃やしたのが直接の原因であり、全くの人災でした。まさに火の用心。火を扱う料理人としてくれぐれもご用心のほどを。

編集長 野澤 武

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2025年3月号編集後記

二十四節気の始めにあたる立春は例年2月4日(節分は2月3日)になりますが、今年は37年ぶりに2月3日(節分は2月2日)となりました。年中行事の豆まきも今ではイベント化して成田山新勝寺などの有名人の豆まきが報じられ、家庭ではいつの間にか恵方巻を食べて福を招く習慣が生まれました。

旧暦では正月節で寒明けとなり、春の気が立ち三寒四温を繰り返し、春一番が吹き荒れるといよいよ春の到来です。馥郁たる紅白梅の匂いから桜前線の北上と共に開花予想が発表され、もうすぐ桜花爛漫の春本番を迎えます。

昨年11月大統領選で再選されたドナルド・ジョン・トランプ氏は1月21日に第47代米国大統領(2期8年)に就任しました。早速、関税引き上げやパリ協定、WHOからの脱退などの大統領令に署名し、就任演説ではアメリカの「黄金時代」が始まると宣言し、世界中に強烈なメッセージを発しました。

その4週間後の2月8日に、日本の石破茂首相が米国を訪問し、ホワイトハウスで初の日米首脳会談に臨みました。大方の不安予想を払拭するような用意周到の成果を収め、対米投資の拡大、米国経済への貢献などを強調し、初対面としての意気投合ぶりが印象的でした。

注目のお土産は安倍首相が金のドライバーだったのに対し、石破首相は黄金時代にふさわしい金の兜でした。これには米国で話題になったエミー賞の「SHOGUN」と大谷選手がエンゼルスでホームランを打った時にかぶった兜にあやかったとも言われています。

3月18・19日に東京ドームで開催するMLBドジャースとカブスの開幕戦が待たれます。

編集長 野澤 武

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2025年2月号編集後記

令和7年の元旦は昨年の能登半島を襲った地震の悪夢とは打って変わり、青森県の大雪を除き、穏やかな冬日和となりました。正月恒例の第101回箱根駅伝は晴天に恵まれ、2日(往路)3日(復路)に亘って行われ、青山学院大が大会新記録で2年連続8度目の優勝を飾りました。

箱根と言えば昔から日本有数の温泉・保養地で知られ、富士箱根伊豆国立公園の中心で国際的観光地として親しまれてきました。現在の神奈川県足柄下郡箱根町は芦ノ湖湖畔の旧宿場町で、通称元箱根。旧東海道五十三次の小田原から三島の間の宿(あいのしゅく)として発達し、「入鉄砲に出女」を厳しく取り締まる関所があった場所で、今では芦ノ湖遊覧船の発着地点となっています。箱根峠は静岡県との県境にあり、昔の馬子唄に「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」と歌われていました。ちなみに大井川は江戸時代に渡し船が禁止され、旅人は人足を雇って肩車か輦台(れんだい)で渡ったと言われています。

昨年末から全国でインフルエンザが猛威をふるっていますが、新型コロナのウイルスも根強く残っており、ワクチン接種とマスクの着用、手洗い、消毒等の励行で感染リスクを完璧に抑えたいものです。

今年最大の催しは4月13日から大阪市の人口島「夢洲」で始まる大阪・関西万博ですが、未だ入場券が大量に売れ残り、一向に盛り上がる気配がなさそうです。7月には参院選挙、都議会議員選挙が予定されており、早くも与野党の議席数をめぐる攻防が取り沙汰されています。

永朋舎では会員のみの新春懇親会が2月16日に行われます。皆さんのご出席をお待ちしております。

編集長 野澤 武

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2025年1月号編集後記

謹賀新年

本年も会員皆様の変わらぬご愛顧とご協力のほど
何卒よろしくお願い申し上げます。

2025年 元旦
編集部一同

辰年が明けて巳年となりました。古代中国の暦に基づく十二支に当てはめた動物では竜から蛇に変わります。国語辞典によれば「蛇(じゃ)の道はへび」(同類の人は互いにその方面の事情に通じている意)とか「蛇(じゃ)は一寸にして人を飲む」(才ある人は幼いときからその片鱗を見せるの例え)とあります。

また「鬼も蛇(じゃ)もとかく酒にはだまされる」という川柳は、「大江山の酒呑(しゅてん)童子」と「八岐大蛇(やまたのおろち)」などと同様に大酒飲みの伝説によるものです。一般になじみのある言葉では「蛇(だ)行」や「蛇(だ)足」があり、毎度ひねって使う水道の「蛇(じゃ)囗」、調理用語では胡瓜などの「蛇腹切り」があります。極めつきは、ドリームジャンボ宝くじやグルメ番組の人気店に並ぶ「長蛇の列」となるようです。

「一年の計は元旦にあり」と言いますが、会員の皆様にはすでに実現可能な計画を立てておられるかと思います。くれぐれも「竜頭蛇尾」になりませんようご精進のほどお願いします。

編集長 野澤 武

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2024年12月号編集後記

月日の経つのは早いもので、今年のカレンダーも霜月(11月)をめくるといよいよ師走(12月)となります。もともとは陰暦(月の満ち欠けを基準にした暦)の異称ですが、現代は地球が太陽の周りを一周する時間を一年と定めた太陽暦に合わせて日本では「和風月名」として良く用いられる月名があります。その代表的なものが12月の師走といえます。

年の暮れは「歳末多端」の用語があるように、商いの決済や正月の準備など何かと用事が多いものです。俗に法師(坊さん)が頼まれてお経を読むのに奔走することから「師馳せ月」が「師走」になったと言われています。もっとも「師走坊主」の用語があり、歳末はお布施も無く落ちぶれた坊主が多いことから、みすぼらしい者の例えに用いられる言葉でもあるようです。

2024年の新語・流行語大賞のノミネート語30が発表されました。インバウンド現象によるコンビニ富士山(コンビニの背景に聳える富士山が観光スポットになりマナー違反続出)、インバウン丼(1万円もする高級海鮮丼)、裏金問題(政治資金パーティの不記載問題=この結果、解散総選挙で与党が過半数割れとなる)、被団協(日本のノーモア・ヒバクシャの原水爆被爆者団体がノーベル平和賞受賞)、令和の米騒動、50-50(ドジャース大谷翔平の50本塁打・50盗塁新記録達成)、マイナ保険証一本化、新紙幣、新NISA、名言が残せなかった(パリ五輪でヤリ投げ金メダル北口選手のコメント)などが選出されましたが、新年早々の能登半島地震はノミネートされませんでした、12月2日に大賞が決まるそうです。

令和6年は永朋舎にとって創立三十周年記念式典・祝賀会の開催が重大ニュースでした。三十五周年のスタートとなる令和七年が会員皆様にとってより良い年になりますよう願い上げます。

編集長 野澤 武

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