調理師日誌

2021年9月号編集後記

真夏のコンディションとコロナ禍による緊急事態宣言の下、史上初の無観客で行われた一年遅れの第32回オリンピック(2020東京)が閉幕しました。7月23日から17日間に亘って繰り広げられた大会は、開催国としての日本選手団の活躍が目立ちました。新競技・新種目を含め、金メダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個(合計58個)は米・中に続く三番目の成績で過去最多を記録し、外出自粛で巣ごもり状態の国民にテレビ画面を通してスポーツの魅力と感動を与えました。

8月24日からはパラリンピックが開催されており、陸上や水泳競技等の躍動ぶりには障害を感じさせないほど目を見張るものがあります。一方で、国境を越えた平和の祭典を象徴する「難民選手団」の参加はリオに続き二度目となりますが、戦争や迫害によって故郷を追われたアスリートの活躍も注目されました。本来参加することに意義があるオリンピック精神に則るもので、今後ますます激化すると思われる内乱の絶えない国々のアスリートにとっては救いの神となるものです。

変異するコロナ株は相変わらず社会生活をおびやかし、ワクチン接種が進む中、国内での感染者数は地方に拡大しています。医療崩壊の兆候として入院先の見つからない自宅療養者が増え、若い人も重症化する傾向にあり、一向に収まる気配がありません。治療薬ができるまでは一人一人が感染を防ぐ努力をする方法しかないようですが、緊急事態宣言下では依然として料飲業界のしばりは厳しく、まさに今、国の緊急な手当が必要不可欠です。味覚の秋を楽しむ正常な場面が一刻も早く実現することを願うばかりです。

編集長 日比野隆宏

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