調理師日誌

2021年4月号編集後記

 前号の桜の開花予想が見事にはずれ、福岡で3月18日が12日に、東京では3月21日が14日に咲いてしまいました。ちなみに大阪では3月19日でした。どの道、今年の春もコロナ禍でさくら祭りや花見の宴会は中止となり、日本人の楽しみが奪われてしまいました。花見酒を愛する人にとっては「酒なくて何の己が桜かな」となったようです。

 東北の復興と日本経済の活性化を目標としていた真夏の「東京オリ・パラ」も一向に収束の見えないコロナ禍によって、海外からの観客を断念し国内だけの限られた入場者の下で開催されることが決まりました。管首相が第99代内閣総理大臣に就任したときの所信表明演説で述べた「人類がコロナに打ち勝った証として、また東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたい」との意気込みはすでに遠のいた気がします。

 海外からの観客を大量に見越して準備していたホテル・旅館や観光地、会場周辺の商店街にとっても大誤算となりました。まさに「弱り目に崇り目」ということです。料理の素朴な俚諺(りげん)でいえば“野鳥の献立”または“飛ぶ鳥の献立”というらしく、まだ捕まえていない鳥をあれこれ料理する方法を考えることで、皮肉な結果ともなれば当て外れなどいう生半可な言葉では表現できない事態が予測されます。

 まもなく爽やかな陽気の黄金週間を迎えますが、今年もソーシャルディスタンスとマスク会食を守り、感染防止に努めたいものです。

編集長 日比野隆宏

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