調理師日誌

2019年5月号編集後記

 マスターズゴルフ2019で14年ぶりに復活Ⅴを遂げた43歳のタイガー・ウツズは健在でした。若くして頂天を極め天国から地獄への破天荒な私生活を乗り越えて甦ったウッズの勇姿が印象的でした。フランスではゴシック建築最高峰のノートルダム大聖堂が突然焼け落ち、フランスのみならず世界遺産としても大きな損失となりました。スリランカでは同時多発テロが発生し、邦人を含む多数の死傷者を出し厳戒令が敷かれました。

 この季節、使い古された名句ではありますが「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」(山口素堂)の旬が意味するように、江戸時代、宵越しの銭は持たない江戸っ子は青葉若葉の頃に鎌倉沖を北上する初鰹を待ち焦がれたという。女房を質に入れてもとか、芭蕉の句に「鎌倉を生きて出でけむ初鰹」というものもあり、いかに珍重されていたか想像できます。本来、カツオに限らず初物を食べると寿命が75日延びるという俗信があり、初物を好んだ理由でもあるようです。

 また、3月3日の雛節供に対し端午は男の子の節供でもあり、菖蒲湯の菖蒲がが尚武に通じるように、カツオは勝男に通じるところから端午の節句に食するところもあったようです。吹き流しと共に空高く泳ぐ鯉職の鯉も中国の故事「登竜門」(鯉の滝登り)にあやかったものです。屋内では鬼や武者人形を飾って男子の成長を祝うという習慣も少なくなりました。

 ついに平成とも今月限りでお別れです。5月からは令和元年になります。平成の時代は天皇のお言葉にもありましたように甚大な災害に見舞われはしましたが、最も悲惨な戦争はありませんでした。新たな元号のもとで平和で豊かな生活が送れるよう切に願いたいものです。

編集長 日比野隆宏

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