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一月の絵献立[一]
平成辛卯初春の宴
「数寄屋 金田中」 松本 昇
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絵献立 お品書き
【前肴】 松葉蟹は塩茄でして身を荒捌きにします。市田柿は開き、種を取って小栓切りにし、大根は小栓切りにして立塩でしんなりとさせ、人参は小栓に切ってサッと湯通しします。以上の品を煎り胡麻と甘酢で和え、三宝柑釜に盛ります。塩数の子は掃除して適度に塩を抜き、酒粕・白味噌・味醂粕・砂糖・醤油・酒を合わせた粕床に漬けます。金海鼠は戻して炊いた後、海老の擂り身を射込んで蒸し上げ、切り出します。車海老は塩茄でとします。吹田慈姑は、松毬にして炊きます。黒豆を炊いて表面に金箔を飾ります。萵苣薹は篠に剥いて西京味噌に半日漬けた後、芯を抜いて輪に庖丁します。有平の千代板は5mm幅に庖丁し、結びます。
【椀】 河豚白子は焼き、丸餅も焼きます。人参、大根は帯状に切って結びます。以上の品を椀に盛り付けて鼈地を張り、芽葱をあしらい汁生姜を忍ばせ、丸煮仕立てとします。
【造り】 鰤、鮪、伊勢海老は上身にして適量に庖丁し、あしらいと共に盛り合わせます。鮟肝は蒸して裏漉しし、ポン酢と合わせて加減し、拍子木切りの河豚に鞍掛けとします。
【焼物】 青首真鴨の抱き身部分を適量に庖丁し、塩・粉山椒を振って石焼きとします。九条葱は笹切りし、鴨の脂を絡ませて焼きます。聖護院大根は厚めの角切りにして戻し、鴨脂入りの出汁にて炊いた後、石焼きとします。
【口替り】 海老芋は塩蒸しして裏漉しし、牛乳と合わせて薄味を付け、練り込んでマッシュポテトのようにします。香箱蟹の甲羅に熱々の海老芋餡を敷き、松葉蟹身、荒微塵の玉葱、椎茸、五分三つ葉を合わせ、玉子の素・マヨネーズ・白味噌・塩・胡椒・砂糖・薄口醤油で味を調えた餡を詰めて天火焼きし、上がりに一刷毛醤油を塗り、酢橘を添えて供します。
【酢の物】 吸地加減した鳴門若布、薄切りした筍を下に敷き、生の白魚を盛って生姜酢を掛け、蕗の薹の外皮を二枚ほど飾ります。
【煮物】 九絵のちり鍋です。豆腐、椎茸、水菜をあしらい、ポン酢で供します。
【飯】 洗い米の五倍量の水加減で白粥を炊き、七つの菜を添えて供します。
【水菓子】 琥珀羹は、水1リットル、濃口醤油36cc、砂糖200g、グランマニエ36cc、ゼラチン35gを合わせ、煮溶かして冷やし固めます。
【菓子】 鶯餅は、白玉粉200g、水300ccをよく合わせ、晒しの上にのせて15分ほど蒸した後、砂糖100gを3回くらいに分けて入れながら、鍋でよく練って求肥餅を作り、薄くのばして梅餡を包みます。梅餡は、甘さを控えた白餡に、梅肉を合わせて練ります。
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